テレビやプロジェクターを接続するとき、HDMIケーブルの長さが足りなくて困ったことはないだろうか。現在、一般的に出回っているHDMIケーブルは長くても数メートル程度で、フロントプロジェクターなどを使っていると長さが足りず困ることも多い。専門店に行けば10メートル以上のケーブルも販売してはいるが、数万円単位の出費と煩雑な配線作業を覚悟しなければならない。
こうした不満を解消するものとして期待されているのが、UWB(Ultra-WideBand)を利用した“ワイヤレスHDMI”だ。配線不要でハイビジョン映像と音声を伝送できるワイヤレスHDMIは、ユーザーの利便性を向上させ、将来的にはAVシステム全体の姿を変える可能性を持つ。
先月、米ラスベガスで開催された「2007 International CES」でもワイヤレスHDMIに対する関心は高く、Philipsなど対応機器を展示したブースには常に人だかりができていた。UWBチップセットの開発と製造を行うTzero Technologiesのブースもその1つ。同社はCESの開幕に合わせてASUSTeK ComputerやHisenseが同社のワイヤレスHDMI技術を採用すると発表して注目を集めた。
その「2007 International CES」から約1カ月。製品プロモーションのために来日したTzero Technologiesのラジブ・クリシュナモーシーCTOにワイヤレスHDMIの現状と見通しを聞いた。
同社のワイヤレスHDMIソリューションは、2006年6月に発表したUWBチップセット「TZ7000」とアナログ・デバイセズのJPEG2000対応チップ「ADV202」を組み合わせたもの。入力信号をリアルタイムにJPEG2000へ変換し、マルチチャンネルのオーディオとともにワイヤレス伝送する。JPEG2000に変換するのは、通信エラーが発生した際に映像への影響を最小限に抑えるためだ(関連記事)。
「まず強調しておきたいのは、われわれのシステムではLower Bandの1つのバンドだけで十分なキャパシティを持っているという点だ」とラジブ氏。「1バンドで15〜30メートルの距離なら最大100Mbps。ハイビジョンストリームを3本伝送できる。しかも、ほかのワイヤレス機器が存在しても干渉することはない」。
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