脱線したので、話をプロトタイプの機能に戻そう。
本体の前方にある黒い円形のものは「物質転送フィールド」だ。平たくいうと「ICタグ/バーコードリーダー」。ここに、ICタグ付きの「グッズカード」を置くと、その情報を読み取り、3Dキャラクターに新しいアイテムやアクションを付加できる。ちなみに洋服のカードを置くと、かつての“熱湯コマーシャル”を彷彿とさせる生着替えイベントが発生。もちろんカードは有料なので、同社としてはカード販売もビジネスの一環にする予定だ。
「本体価格はなるべく抑え、キャラクターやカード販売、広告などの周辺ビジネスで利益を上げるモデルを考えています。いわば、ゲーム機とゲームソフトの関係。まずはタレントプロダクションとのパートナーシップを検討しています」と鈴木氏。亜空間通信Podでは、拡張ユニットの“キャラクター情報記憶素子”「CODEC CELL」(という名前の外部メモリ)を使って3Dキャラクターを入れ替え可能。グラビアアイドルはもとより、男性アイドルやアニメキャラにも変身する仕組みだ。同社では、まず追加3Dキャラクターをパッケージソフトとして販売する計画だという。
オンラインゲームとの連携も検討している。
「亜空間通信Podを、ゲームキャラクターの“住処”にします」。フレパー・ネットワークスはネットカフェを中心に2500台以上のデジタルコンテンツ販売用キオスク端末「デジらく」を展開している。これを利用してゲームキャラクターのアイテム(グッズカード)を販売するという計画だ。
「Pod内はキャラクターにとってのオアシス。体力を回復して、新しいアイテムを入手して、次の日にはユーザー(のキャラクター)と一緒に再び冒険や戦場に出ることができます」。
では、広告ビジネスとはどういうことなのだろうか。実は、「物質転送フィールド」が読み込めるのはグッズカードだけではない。一般のお店で購入できる商品に付いているバーコードやICタグを読み取ることもできる。
プロトタイプでは、インスタントラーメンを転送すると3Dキャラクターの女の子が食べ始めるといったデモンストレーションを披露してくれたが、製品版では拡張ユニット(オプションともいう)の「インターフェースステーション」や「パラボラアンテナ」(後述)を使って亜空間通信Podにインターネット接続機能を付加すると、物質転送フィールドで読み取った製品の情報を同社のサーバに照会できる。つまり、読み取った製品情報によってキャラクター新しいアクションがどんどん追加されるというわけ。もちろん、世の中にあるすべての製品を網羅できるはずもないから、亜空間通信Podの普及次第で広告価値が出てくる。
ワントゥーワンのマーケティング手法も用意する。これは、インターネットに接続された亜空間通信Podに対して、同社から一斉に広告用アクションを配信するというもの。ある日突然、3DキャラクターがCMを始めるという、いわば3Dキャラを利用したダイレクトな“口コミ”広告。広告とはいえ、3Dキャラクターに新しいアクションが追加されるのだから、ユーザーとしては嬉しいことだろう。
ただし、そこには巧みにユーザーを消費活動に誘導する仕掛けがある。
たとえば、ある製品の発売日になると、3Dキャラクターが「今日は○×ビールの“冬味”が新発売されるから、おみやげに買ってきてね」と、かわいくオネダリ。ユーザーが買って帰り、物質転送フィールドで転送すると、キャラクターは大喜びで「乾杯しよう!」といったリアクションを返す。もちろん3D映像のなかでは、キャラクターの手に“冬味”があり、ユーザーと乾杯できるという寸法だ。
一方、ユーザーが3Dキャラクターの言うことを聞かず、冬味を買って帰らないと、キャラクターが(お腹が空いて)体調を崩してしまうこともある。これはグッズカードの「薬カード」で直るのだが、なんというか、広告スポンサーも脱帽のオネダリ姫っぷりである。まあ、可愛ければ許す。
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