パイオニアは2月6日、同社高級スピーカーブランド「TAD(Technical Audio Devices)」のフラグシップモデル「TAD Reference One」を4月上旬より販売開始すると発表した。価格は1本315万円。
「TAD」は1975年に開発が開始され、300以上のスタジオで利用されているほか、著名ミュージシャンのコンサートセットなどにも使われたモニタースピーカー。2003年にはブランド名を関した初の民生用モデル「TAD-M1」が販売されている。新製品はTAD-M1の思想と設計を受け継ぎ、「音像と音場の高次元で両立させ、民生機の頂点を目指すモデル」として企画された。
形式としては位相反転式のフロア型の3ウェイ構成。トゥイーター/ミッドレンジ/ウーファーには3.5センチドーム/16センチコーン/25センチコーン×2を搭載する。トゥイーター/ミッドレンジの振動板には同社独自の蒸着ベリリウムを使用、強度と均一性を高め、優れた減衰特性を実現している。
トゥイーターの形状はコンピュータ解析によって求められており、ダイヤフラムの分割振動を可聴帯域外に追いやりながらも的確にコントロールし、100kHzの超高音域再生を可能にしている。また。ミッドレンジのコーンは同軸配列された指向特性をコントロールする役割も持っており、「CSTドライバー」と名付けられたトゥイーター/ミッドレンジユニットは250Hzから100kHzという超広帯域再生能力と、全帯域がスマートに減衰していく指向放射パターンを併せ持つに至った。
ウーファーの磁気回路にはショートボイスコイルタイプのOFGMS(Optimized Field Geometry Magnet Structure)磁気回路を採用(コイル径は100ミリ)。37ミリのロングキャップながらもコイル外側のプレートにスリットを設けることで、磁束密度を均一化し、大振幅時でも安定した動作と正確な波形を再現する。振動板は発泡アクリルイミドをアラミド繊維で挟み込んだ3層構造の「TLCC(Tri-Laminate Composite Cone)」を採用した。
航空機や船舶の設計理論からヒントを得たという、流線型が美しいエンクロージャーはスピーカーユニットの鳴りを最大限に引き出すという考えのもと、素材から構造、形状に至るまで徹底した無共振化がはかられている。厚さ21ミリの横隔壁を骨格に、最大50ミリの側板と最大137ミリの加工合板を組み合わせている。突版は高級家具素材にも利用されるポメラサペリ製で、表面には透明ポリエステルによるピアノ仕上げが施される。
最下部のバスレスポートはTADシリーズで培われてきたコンプレッションドライバーとホーンの理論を導入して設計することで、ウーファーが可動域限界まで駆動しても風切り音が発生しないというなめらかな整流効果を生んでいる。
ネットワークはセパレートマウント型のクロスオーバーネットワークで、ヒートシンクを兼ねる27ミリ厚の削りだしアルミ製リアパネルに設置される。スパイクはコーン型と丸形の2種類が付属する。サイズは554(幅)×1293(高さ)×698(奥行き)ミリ、150キロ。
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