セイコーインスツルから一風変わった電子辞書が登場した。ソニーの「VAIO U」やウィルコムの「W-ZERO3」を想像させるスライドボディを備えた「DB-J990」だ。
この製品が風変わりなのは外見だけではない。インターネットからダウンロードしたコンテンツやRSSで配信される情報も扱える能力を持つ“ネットワーク電子辞書”であり、その成り立ちや設計思想からして、いわゆる電子辞書とは一線を画している。
同社で製品企画に携わった、パーソナル機器事業部 企画営業部 企画課長の鈴木利治氏と主任の斎藤淳氏に話を聞いた。
話の前に、DB-J990がどのようなデバイスなのか説明する必要があるだろう。これは同社と米Franklinの間で2004年に結ばれた業務提携に基づいて誕生した製品で、セイコーインスツルが企画を、Franklinが設計と開発を担当している(ハードウェアとしてはFranklin製ということになる)。
ハードウェアとしては480×320ピクセル(最大で19文字×11行の表示が可能)のFSTN液晶のほか、QWERTY配列のキーボードを搭載しており、一見したところPDAのようにも見える。コンテンツとしては広辞苑やジーニアス英和大辞典、漢字源、オックスフォード現代英英辞典、マイペディアなどを搭載しているが、注目すべきは純粋な電子辞書ではなく、電子ブックリーダーに電子辞書機能を追加した製品として意図されてることだ。
「基本は電子ブックリーダーに電子辞書機能をプラスした製品です。リブリエのような純粋な電子ブックリーダーと決定的に異なるのは、英文のリーディングに特化したことと、英語学習者を主なターゲットに据えた点です」(鈴木氏)
DB-J990はUSB端子を備えており、PCにインストールされたライブラリソフト「Mobipocket Reader for Franklin」が母艦となって、インターネットからダウンロードした電子ブックを転送できる。ソフトには直接、電子ブックのストアへジャンプし、書籍を購入する機能も搭載されており、購入から閲覧、転送までがノンストップで行える。「例えるならば、Mobipocket Reader for FranklinがiTunes、DB-J990がiPodと言う関係ですね」(鈴木氏)
閲覧できる電子ブック形式は「Mobipocket」のみであり、前述のストアでは英語/ドイツ語/フランス語などが主で日本語のコンテンツは販売されていないが、Mobipocket Reader for FranklinはWordやPDF、HTML、テキストなどの各種ファイルをMobipocket形式に変換する機能を持っているほか、RSSで配信されているフィードを取り込み、DB-J990へ転送することもできる。
DB-J990の内蔵メモリには50Mバイトのフリーエリアが確保されており、ここへ電子ブックをはじめとした各種コンテンツを収納できる。この容量には小説なら50、百科事典なら1つ、辞書なら3つ程度のコンテンツが収納できるが、コンテンツは搭載されているSDカードスロットを利用してSDカードに収録しておくこともできる。
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