最近、ちょっとした貯金箱ブームが起きている。火付け役は、タカラトミーが昨年12月に発売した「人生銀行」。初期ロットは早々に完売し、本来なら貯金箱の需要期とされる年末年始や春先に商品が店頭にない状態だ。同社ニュープロダクトチームの高橋英之氏に話を聞いた。
人生銀行は、500円硬貨専用の貯金箱で、最大10万円を貯めることができる。他の製品と違うのは、液晶画面の中に“貯金箱の住人”がいて、最初に目標金額や期限を設定すると、貯金の進捗状況によって住人の生活が左右されるところだ。
まだ貯金が少ないと、住人は三畳一間で貧相な暮らしをしているが、貯金額が増えるに従って広い部屋へ住み替えたり、就職、恋愛、結婚といったイベントが発生する。しかも貯金のペースが滞ってくると、貯金箱の住人が「大学の学費が……」などと貯金を催促してくる。
目標日までに予め設定した金額に達すると、貯金箱の住人は「ハッピーなエンディング」を迎えるが、目標日を過ぎても設定金額に届いていない場合は、逆に「残念なエンディング」になってしまう。また目標金額に至る前にお金を取り出してしまうと、住人は三畳一間に逆戻りしてしまうらしい。
高橋氏は、好調の理由をこう分析する。「日本のタンス預金は20兆円といわれますが、そこにデザイン性が高く、またアイデア勝負の貯金箱が登場してきた」。また、その背景にはカードや電子マネーの普及といった時代性も反映されているという。「給料は銀行振り込みで、買い物はキャッシュカード。明細をもらうだけで済む世の中になり、逆にリアルな“お金”に関心が向いているのではないでしょうか」。
事実、ギフト・ショーに展示された他社の製品にも、ハイテクな仕掛けとレトロなデザインを織り交ぜつつ、昔ながらの“お金”を連想させる貯金箱が多く見られた。たとえば、ビーズの家庭用金庫「デジタル大番頭」は、和風できらびやかな“バブリーデザイン”で古風な雰囲気を醸し出す。漢数字をあしらったボタンをぽちぽちと押せば、気分は越後屋だ。
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