シャープが「インターネットAQUOS」の新製品を発表した(関連記事)。今回は、セットの液晶テレビを20V/26V/32V型というパーソナルサイズへと変更し、春の新生活需要を狙う。
同社によると、新インターネットAQUOSのコンセプトは、「テレビの画質と操作性」と「パソコンの拡張性」の両立だという。「シャープの強みはAQUOS。AQUOSを水平展開し、放送コンテンツを楽しむAV技術とPCの通信機能の“融合”を一歩進める」。いわば、AV機器とPCの“いいところ取り”を目指しているわけだが、ユーザーとしては、新製品が従来のテレパソと異なるアプローチで作られている点は認識しておくべきだ。
どこが異なるのかといえば、まずPC本体にはチューナーを搭載していない。PCには、独立したAV HDD(ストリーム記録用にチューニングしたHDD)を備えた「i.LINKデジタル録画ユニット」が内蔵され、AQUOSのチューナーが受信した番組をi.Link経由でストリーム記録する仕組みだ。つまり、「Rec-POT」のようなHDDレコーダーをPCの筐体に入れ込んだようなもの。技術的には、「AQUOSファミリンク」の「ハイブリッドダブレコ」やBlu-rayプレーヤー「BD-HP1」の録画機能と同じだ。
録画機能が独立したことによるメリットは、まず録画中でもパソコン部に負荷がかからないこと。またAQUOSのデジタルチューナーで受信した番組を、そのままストリーム記録で残すのだから、画質は間違いなく「AV機器画質」だ。なお、録画予約にはAQUOSのEPGを使うため、PCがオフの状態でも録画予約や番組再生が行える。AV機器ライクのシンプルな使い勝手は魅力的かもしれない。
しかし、従来のインターネットAQUOSに比べると、テレパソとしての機能は明らかに貧弱だ。録画機能が独立したことで、PCのDVDドライブで録画番組をメディアに書き出したり、PCの画面にTVの画面を混在させるといった連携機能はなくなった。また、組み合わせるAQUOSがパーソナルサイズのため、システムとしてのチューナー数が減り、たとえば録画中にデジタル放送の裏番組を見ることができない(この点は対応するAQUOSが増えれば解消される)。
さらに残念なのは、現状では録画済み番組をi.Link経由で出力(ムーブ)できない点だろう。将来的にアップデートされる可能性は残しているものの、事実上「見たら消す」仕様になっている。個人的にはこうしたアプローチも嫌いではないが、大胆な“割り切り”のため、新製品の内容を知らない人が、従来製品の後継機のつもりで購入したら確実に戸惑う。
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