一般的な用途に限れば、使いたい辞書を収録した電子辞書が存在しないという事態は想定しにくいが、「“英和辞典はA、国語辞典はB”という組み合わせが欲しいけど、そうした製品はない……」という、好みの組み合わせが収録されていないというケースはある。
しかし、そこであきらめることはない。多くの製品で、別売ICカードまたはCD-ROMによるコンテンツ拡張に対応しており、英語重視のモデルにイタリア語辞書をプラスする、総合タイプに英和大辞典をプラスするといった利用目的にあわせたカスタマイズが行えるようになっている。
こうした別売データによる拡張は便利だが、電子辞書本体の価格を考えると割高になることがほとんど。例えば、データ拡張に対応したカシオ計算機の電子辞書「XD-GW6800」(総合タイプ)の実売価格3万4000円前後だが、拡張用CD-ROM「XS-SA08」は「クラウン仏和辞典 第5版」と「コンサイス和仏辞典 第3版」の2つが収録されて実売価格は6000円前後だ(ICカード版の「XS-SA08CA」はもう少し高価で1万円前後)。
自分だけのコンテンツ構成を作り出せるという点では得難い魅力を持つが、割高感は否めない。自分の利用スタイルにあわせた製品を選び、その上でどうしても追加の必要があると感じた際の手段とするべきだろう。
基本的には使いたい辞書(コンテンツ)を搭載した製品を選ぶことが肝要だが、最近では「辞書を引く」以外のプラスアルファを備えたモデルも多く登場している。収録されている辞書(コンテンツに)が同じならば、プラスアルファの部分で製品選択を行うのも良いだろう。
プラスアルファの機能で最も一般的なのが、音声(発声)機能だ。辞書に収録されている単語を実際の発音で読み上げる機能で、発音記号だけではつかみにくいニュアンスを確認できる。最近の製品ではネイティブの肉声をデータとして収録しており、カシオ計算機の発音対応モデルでは「摩擦音などの子音まで忠実に再生する」とアピールしている。
また、発音データの収録されていない語句やフレーズについても、TTS(Text-To-Speech)による合成音声発音機能によって確認できる機種が増えてきている。原理上、TTSはデータとして収録された肉声データより滑らかさに欠けてしまうが、慣用句や会話に頻出するフレーズなどを音声で確認できる利便性がある。
発音機能は多くの製品が搭載しており、半ばスタンダードな機能になりつつあるが、今シーズンのトレンドとなっている新機能がスライタスを利用する「手書きパッド」だ。これまでキーボードという入力デバイスしか持たなかった電子辞書だが、この機能を搭載することで、「手で書く」という新たな入力インタフェースを得ている。
手書きパッドを搭載しているのは、カシオ計算機とシャープの一部のモデルのみだが、パッドの搭載によって電子辞書では苦手としていた、「読めない漢字」を書いて調べることが可能になっているほか、英単語や漢字書き取りテストの入力デバイス、一部機能のショートカットキーとしても機能するようになっている。漢字辞典の利用頻度が高いひとにとっては利便性の高い機能といえるだろう。
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