先日発表されたソニー「BRAVIA J」シリーズの特徴のひとつは強化されたネットワーク機能だ。BRAVIAの一部既存モデルでもPC向けサイトの閲覧が可能なWebブラウザを搭載していたが、新製品はいずれもDLNA準拠の機能を備えたほか、常時接続しておくとテレビを見ながら本製品の画面に最適化されたインターネット上のコンテンツが閲覧できる「アプリキャスト」を新搭載している。
サービス運営そのものはソニーが行うが、Amazon.co.jp、楽天、ソネットエンタテインメント、ヤフーがパートナーとしてコンテンツの提供を行う。なかでもヤフーはPCや携帯に留まらず、ユーザーがどのようなデバイスを使っていてもサービスを提供するという「どこでもヤフー」(関連記事)の構想を発表しており、今回のパートナー参加もその一環と言える。
サービス開始が間近に迫るアプリキャストへどのような期待を寄せるのか、ヤフーが「テレビ」に何を求めるのか、同社デジタルホーム事業室 室長の坂東浩之氏に話を聞いた。
アプリキャストとはスクリプト言語で記述された文字通り“アプリケーション”だ。
BRAVIA Jは電源が投入されると、ソニーのサーバを参照して新しいアプリキャストをチェックし、利用できるアプリキャストをXMB上に表示する。そこで任意のアプリキャストを選択すると放送を受信している画面の右に展開される。一見すると地上デジタル放送のデータ放送画面にも似ているが、HTMLやBMLによる表示ではなく、アプリケーションが介在するため提供者側の自由度は高い。
このサービスは「BRAVIA J」シリーズの販売が開始される4月25日と同時に開始される予定だが、ヤフーはまず「トピックス」「画像検索」「オークション」の3サービスを提供する。
「トピックス」はヤフーのトップページに表示されている「トピックス」をほぼそのまま表示するアプリケーションだ。「国内」「経済」などのカテゴリごとに表示され、その内容とトピックはスライドショーのように随時更新/変更される。ニュースの詳細を見ることも可能だが、その場合にはBRAVIA Jに搭載されているWebブラウザを起動する必要があるため、あくまでも話題を“ぱっと見”で確認するアプリケーションと位置づけられている。
画像検索は「Yahoo!トレンドワード」(ニュースやブログで24時間内に利用頻度の高かったなど言葉をピックアップするサービス)などからRSSで情報を取得し、その記事と画像を表示させるアプリケーション。こちらも話題の言葉を“ぱっと見”で確認するという意味では「トピックス」と同種の体験を提供するアプリケーションと言える。
「オークション」はフリー入力されたキーワード、またはYahoo!ショッピングの「人気検索キーワードランキング」、Yahoo!商品検索で検索頻度の高いキーワードを元に、Yahoo!オークションに出品されている商品を表示する。
アプリキャストから入札やウォッチリスト追加などは行えない。興味のある品物が出品されていた場合には、詳細を表示させると現れるQRコードを使って携帯から参加するか、BRAVIA JのWebブラウザを起動する必要がある。基本的にユーザーがサービスへアクティブに参加する場合にはPC/携帯に任せ、テレビ側からはゆるやかに情報を流し続けるにとどまるというスタンスは貫かれている。
同社の提供しているID(Yahoo!ID)を利用できれば利便性は増すように思われるが、開発開始からあまり時間がなかったことと、「テレビ向け」として提供するサービスと考え、あえて実装しなかったのだという。
「確かにIDを使えれば便利ですし、対応する可能性もあります。ですが、IDは個人で利用するモノであって、リビングに置かれ家族全員が使うテレビ向けに用意することが適当とは思えなかったのです。それに、テレビを表示装置として使うのでWebブラウザを起動してもPCほど表示エリアを広く確保するのは困難です。QRコードから携帯での参加をお勧めします」
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