日本ビクターのEverio、三洋電機のXactiは、デジカメでもビデオカメラでもない独自の分野を開拓してきた。HDにも対応した両モデルだが、その方向性はかなり違ってきているようだ。最新機種「GZ-HD7」「DMX-HD2」を比べてみた。
「前編」でも触れたとおり、日本ビクター「GZ-HD7」では撮影した映像をMPEG-2ファイルとして記録する。動画撮影モードはFHD、SP、1440CBRの3種類から選べるが、SDカードへ記録する場合には最もビットレートが低いSPモードのみとなる。最も低いとはいえ、SPモードも解像度は1440×1080iであり、平均約19Mbps(最大約22Mbps)に及ぶ。そのため、SDカードへの動画撮影にはclass6対応のSDHCカードが必須となるようだ。
これまでのEverioシリーズと同様に、本体の編集機能はあまり充実しておらず、プレイリスト機能で複数の動画をつなげる程度しかできないのは残念だが、その分、外部機器との連携手段は多彩に用意されている。最も一般的な方法は、やはりPCへのデータ転送だろう。USBケーブルで接続を行ってから「GZ-HD7」を起動し、カメラ側のメニューで「パソコンで見る」を選べば、HDDおよびSDカードがストレージとして認識される。
動画ファイルはHDD上の\SD_VIDEO\PRG***フォルダ内に置かれているが、仕様を見るかぎりは、従来のようにSD-Video規格に準拠しているわけでもなさそうだ。動画本体ファイルの拡張子は「.TOD」となっている(これまでのEverioはSD-Video規格準拠の「.MOD」)。ファイルシステムがFAT32なため、長時間の動画は4GB毎に分割される点はこれまでと同じだ(あくまでもファイル上での話で、シーンが分かれるわけではない)。
撮影後のデータは付属ソフトウェアで読み込むか、あるいはMPEG-2デコーダさえ入っていれば、とりあえずはそのまま再生可能だ。編集ソフトウェアなどでは拡張子で蹴られてしまう場合もあるだろうが、その場合は.MPGなどに変えてやれば読み込める。
音声がMPEG-1 Audio Layer2へと変更されたのは、要するにHDV規格に合わせたのだろう。1440CBRで撮影しておけば、映像・音声ともHDVと同等になるわけで、この場合、i.Link端子からHDV出力が可能だ。PCとの接続に利用してもいいが、主に想定されているのはi.Link(TS)入力が可能なHDD/DVDレコーダーとの連携だろう。
そして、もう1つの保存手段が、オプションで提供されているDVDライター「CU-VD20」「CU-VD40」の利用だ。「GZ-HD7」とUSB(2.0対応)接続すれば、撮影した動画をDVD-R/RWへ書き込め、通常のDVD-R/RWメディアなら約20分、2層のDVD-R DLであれば約40分の動画(FHD)を記録できる。特に面白いのは再生機能を備えた「CU-VD40」の存在だ。記録専用の「CU-VD20」は「GZ-HD7」経由でテレビへの映像出力を行うが、「CU-VD40」はHDMI端子から直接テレビへ出力可能なため、ディスク再生時には単体で利用できる。
ディスク作成については、特別なフォーマットやファイルへ変換するわけではなく、たとえば「標準バックアップ」を選択した場合なら、\EVERIO_V\BACKUP\******(実行日を意味する数字)以下へ、SD_VIDEOフォルダごと書き込まれる。それならば、「GZ-HD7」から書き込みを行ったディスクと同じファイル構成にしてやれば、一般的なHD品質のMPEG-2ファイルの再生も可能なのだろうかと密かに期待していたのだが、実際に試してみると(ある意味で)拍子抜けな結果となった。
つまり、何もそんな小細工をしなくても、単にMPEG-2ファイルを書き込んだディスクもそのまま読めてしまうのだ。まず試したのは、映像が1440×1080i、音声がMPEG-1 Audio Layer2、多重化はMPEG-2 PSというファイルだが、ほかに映像部分が1280×720/30pのものや、音声がドルビーデジタル5.1chの動画ファイルも問題なく再生された。デジタル音声出力の専用端子は装備しておらず、また今回はPCM音声のみに対応したテレビへHDMI接続したため、音声は自動的にステレオPCMへ変換されたようだが、仕様によれば、PCMだけでなくビットストリームの出力にも対応している。
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