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本年度アカデミー賞の最優秀長編ドキュメンタリー賞と最優秀歌曲賞を受賞した「不都合な真実」が、7月6日にスペシャル・コレクターズ・エディションとしてDVDリリースされる。
特典は2種類の音声解説(デイビス・グッゲンハイム監督バージョン/ローリー・デイビッド×ローレンス・ベンダー×スコット・バーンズ×レスリー・チルコッチら製作者バージョン)と、メイキング映像、アル・ゴア本人による映画完成後に判明した新事実や新たな出来事、ミュージック・ビデオ「I Need To Wake Up」など約47分を収録。パッケージは、すべて紙で作られた地球に優しいスペシャル“エコ”パッケージを使用。
2000年のアメリカ大統領選では、疑惑の判定でブッシュに敗れた元副大統領のアル・ゴアだが、本作は彼が地球温暖化に関するスライド講演を世界中で開く姿を追ったドキュメンタリー。30年以上にも渡るこの講演活動は、すでに1000回を超え、もはや彼のライフワークとなっている。
北極の氷はこの40年間に40%縮小し、今後50〜70年の間に消滅すると推測され、最近では氷を探して100キロも泳いで溺死した北極グマも発見された。また、渡り鳥の種の絶滅の割合は過去の記録の100倍に達しているという。さらに、インフルエンザやSARSなどの奇病が発生し、ニューオーリンズを襲ったハリケーン・カトリーナのような大きな災害も増えた。環境破壊のため、今後20万人もの難民が生まれるともいわれる……。
温暖化の原因である二酸化炭素がどれだけここ数十年で増加したか、それによって引き起こされる環境破壊の様子が、分かりやすく解説される。アル・ゴアは二酸化炭素を大量に排出し続けるアメリカをばっさりと切り捨て、地球を滅ぼしかねない状況を伝えている。
その真摯でユーモラスな語り口に引き込まれ、説明のうまさにも驚く。まるで大学の講義を聴いているような気にもなるが、資料を抱えて世界中を飛び回る彼の姿には素直に感動できるはず。彼の生い立ちや環境問題に深く取り組むきっかけなどもスライド講演の合間に紹介され、興味深い。
膨大なデータと写真によって映し出される政治家たちにとっての“不都合な真実”――地球崩壊と人類滅亡へのカウントダウンは怖く、そして切実である。わずか77館の上映にもかかわらず全米トップテン入りを果たし、600館まで拡大公開するという大ヒットを記録。日本でも興収3.5億円のロングランヒットとなった。いま我々にできること、すべきこと。重い腰を上げる一歩、考えるきっかけになるという意味でも価値の高い、見るべき作品である。
関連サイト:http://www.futsugou.jp/(公式サイト)
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