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れこめんどDVD「ライアンを探せ!(Blu-ray Disc)」DVDレビュー(2/2 ページ)

» 2007年05月18日 09時02分 公開
[飯塚克味,ITmedia]
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吹き替え版も高音質なので安心

 音声はオリジナルの英語と日本語吹き替えをリニアPCMとドルビーデジタルで、そのほかにタイ語とポルトガル語もドルビーデジタルで収めている。ブエナ・ビスタのBlu-ray Disc版は一般作もそうなのだが、吹き替え版も極力高音質で収録するようにされているのがうれしい。

 大画面になると私の場合、字幕を読みたくなくて吹き替えを選択することが多い。その際、オリジナルだけが高音質だと、どうにも損をさせられたような気がするのだが、ブエナ作品ではそうした思いを味わうことがないのである。

 視聴に際しては、プレイステーション3とヤマハのAVアンプ「DSP-AX4600」をHDMIで接続し、42インチのプラズマテレビと80インチスクリーンの液晶プロジェクターで行った。

 本編前にはブエナ・ビスタのBlu-ray Disc作品群のPRが収録。「ホーンテッド マンション」「スカイ・ハイ」「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」「南極物語」「チキン・リトル」の映像をハイビジョンで確認できる。

 本編は日本語吹き替え版でスタート。これはDVDと共通で、家族向けであることを意識した作りだ。オリジナルの英語版を聞きたい場合はメニューで設定を変える必要がある。

ハイビジョンで見る幸福感

 CH-1では父サムソンが息子ライアンに野生時代、ヌーの大群と闘った話を聞かせている場面。サラウンド的な見せ場が詰まっており、見ていてワクワクする場面だ。映像は回想形式という意味もあり、リアルなCGでなく、グラデーションを多用した簡易的なものとなっている。だが色数の豊富さなど、その美しさには惚れ惚れする。

 リニアPCMとドルビーデジタルを比較すると、重低音は断然リニアPCMの方が迫力満点! サラウンドに慣れていない子供だと少し怖がってしまうかもしれないほどだ。肝心なところで映像は現実に戻り、息子のライオン、ライアンが父親のように咆えることができず、強いコンプレックスを感じていることが描かれる。先ほども書いたが、ライオンの毛並みの素晴らしさはハイビジョンを見ている幸せを実感できる。ほかの動物も同様だ。

 CH-2では動物園の夜のパーティ。ナイトシーンにも関わらず、階調は豊かで、映像にマイナスイメージをわずかにも感じないのは凄い。フィルムに変換した劇場プリントよりも、はるかに高品位な印象を受けるだろう。この後、カーリング大会でひと悶着を起こしたライアンは自己嫌悪に陥って、誤って動物園を出るコンテナに乗り込んでしまう。

 CH-7はそのライアンを追う父ライオン、サムソンと仲間のコアラ、キリン、ヘビがゴミの車に乗って、動物園の外に出るくだりだ。トンネルを抜けて、高層ビルが立ち並ぶ都会へ。すると、サムソンが今まで見たことない風景にあ然とするのだが、こちらも同じ気持ちになれるほど、夜景が美しい。ブロードウェイの映像などほかの実写作品で散々見てきたのだが、ここで描かれるブロードウェイは明らかに異次元空間の世界のようだ。

 後のシーンでミュージカル版の「ライオン・キング」の看板が現われるなど、ちょっとしたイタズラもうれしく感じてしまう。狂犬病の犬に襲われた一行は下水道に逃げ込むが、ここでも空間の広さを感じさせ、出会ったワニの皮のヌメッとした感じもよく表現されている。

 CH-9では港に着いた一行がライアンを乗せたコンテナ船を発見するのだが、コンテナの汚れや船の巨大さにも思わず目がいってしまい困った。

 CH-11ではコンテナ船を追った一行がある島に到着する。物語はここから大きな山場を迎え、“友達なのにおいしそう”的な友情を描いた「マダガスカル」と決定的な違いが生まれてくる。

 親子の信頼関係を回復していく展開は「チキン・リトル」でも描かれていたが、82分という短い時間の中で、動物愛護と宿敵ヌーとの対決も含め、全体を小気味よく描いたスタッフの手腕は見事としか言いようがない。エンディングについても非常にうまくまとめているので、是非確認してもらいたい。

AVファンも必見の高品位ソフト

 特典は“音声解説付きの未公開シーン”“ミュージック・クリップ”“製作の舞台裏”が収められている。この内、“未公開シーン”はDVDが5つのシーンを収録しているのに対し、Blu-ray Disc版は9つの場面を収めている。特に冒険後の動物園を描いた別エンディングや、悪役の扱いや島でのエサ探しを描いたくだりは、スタッフの作品に対する思いがうかがい知れて興味深い。

 本作は子供向けということで、チェックしていないユーザーも多いかと思われるが、所有するプロジェクターやディスプレイのクオリティチェックには欠かすことができない高品位ソフトと断言できる。子供がいる人にはもちろん、そうでない人にも絶対オススメできるハイクオリティソフトだ。

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