小寺信良
もはや人ごとではない――MIAUに込めた想い(1/3 ページ)
ネット住民のネコ好きはよく知られたところであるが、この度、しなやかなネコのキャラクターイメージを掲げる団体を立ち上げた。「インターネット先進ユーザーの会」(Movements for Internet Active Users、通称「MIAU」)である。
ここ2~3年前から、デジタルコンテンツと著作権に関わる議論、あるいは委員会が数多く開催されるようになってきたのは、すでにご承知の通りである。だが、どうだろう。それらの委員会を経て、我々消費者にとって何かプラスに働く事例があっただろうか。
思い返してみれば、消費者の意向が反映されたのは、2005年の「文化審議会 著作権分科会 法制問題小委員会」において、録画録音補償金に関しては補償金制度の廃止を含めて議論すべき、との結論が出されたこと以降、ないように思う。それほどあの結論は、画期的だった。
ただこれも、後に招集された「文化審議会 著作権分科会 私的録音録画小委員会」においては、制度維持前提ありきの姿勢のまま、さらに著作権法の30条「私的使用のための複製」を改正し、違法サイトからダウンロードした人も違法にすべきという結論が出された。
私的録音録画小委員会にはIT・音楽ジャーナリストの津田大介氏もメンバーに入ってはいるものの、その組閣においては法制問題小委員会において補償金反対派がごっそり抜かれ、そのかわり権利者代表がごっそり入るという事態が起こっている。もはやこの段階で、法制問題小委員会における結論はなかったことにするというレールが、透けて見えていた。
文化庁の文化審議会のもろいところは、そこでの決め事を必ずしも政府が実行する責任がないということである。総務省管轄の審議会と大きく性格が違うのはその点で、立ち位置が全然違う。総務省のは、「これこれの改正を行なう場合には審議会にかけて諮問すべし」と、電気通信事業法や電波法で定義してある。つまり、審議会で審議したら、必ずそれが実行されてしまうのである。
だが文化庁の審議会は、著作権法を扱ってはいるものの、著作権法上には「審議会で諮問すべし」と定義されていない。つまり文化庁の審議会は、その権限や立ち位置がはっきりしないまま、どんどん進められているのである。
これが何を意味するかと言えば、政治的ロビー運動により、審議会の決定を実行してもいいし、潰してもいいということになるわけである。な ん だ そ れ。
なぜ急いだのか
では我々消費者にできることは何か。どうすれば我々の意向を、正しく政治の世界に伝えることができるのか。
まずひとつは、文化審議会などに消費者の代表として、ITとデジタルのテクノロジーがわかる人間を送り込むことである。津田大介氏ひとりがあっちこっちでひっぱりだこという現状では、どう考えてもリソースが足りていない。
もうひとつは、実際に政治を動かす政治家に対して、いかにアプローチするかということである。それには数多くの人間がその後ろに控えていて、消費者の利益に叶う動きをする人や政党は支持する、利益を損なうのなら次の選挙で落とす、という体制を作らなければならない。
つまり、現実の社会を動かすためには、ネット上でいくら騒いでもダメで、実態を持った組織が必要なのだということが、ここ数年の取材を通してわかった。なぜならば現実世界のほうからは、決してネットに対してアプローチしてこないからだ。
MIAUは、ネットの世論を拾い上げ、それを現実社会に対して伝えていく。そういう組織である。将来的にはITとデジタルに強い消費者の代表組織として、誰かをどこかの委員会や審議会に送り込むこともやりたい。もっと言えば、誰か政治家になる人間がいてもおかしくない。そういうところまで行ければ、すごいことだと思う。
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