発売日:2007年10月17日 価格:12800円 発売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 上映時間: 139分(本編) 製作年度:2007年 画面サイズ:ワイドスクリーン・スクイーズ 音声(1):リニアPCM/5.1chサラウンド/英語 音声(2):ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/英語 音声(3):ドルビートゥルーHD/5.1chサラウンド/日本語 |
世界中で大ヒットを続けてきたアメコミ作品のシリーズ最新作! あらゆる世代の共感を呼び、グリーンゴブリン、ドックオックなどの強敵と戦ってきた我らがスパイダーマン。今回は全米で長年に渡って人気を集めてきたサンドマンとヴェノムという2人の強大な敵が立ちふさがる。また、スパイダーマンことピーター・パーカーを巡る女性関係も相当ややこしい展開を見せ、シリーズ最高の盛り上がりを見せてくれた。待望のBlu-ray Disc版はシリーズ全3作品を収録しての登場。現在存在する最高の先端技術を投じて映像化された作品はBlu-ray Discでどのような映像を見せてくれるのか?
今年の5月1日に日本で公開された「スパイダーマン3」はシリーズ完結編ともあって、驚異的なヒットとなったが、何よりも驚かされたのが本国アメリカよりもわずかではあるが、早い公開だったことである。また公開に先立ち行われたジャパンプレミアも欧米を含めた世界各国から取材陣が訪れ、このイベントが国内だけでなく世界をターゲットにしたものであることが明らかにされた。
そんな話題づくしの「スパイダーマン3」だが、ソフト化もアメリカより日本の方が早く、アメリカが10月30日発売なのに対し、日本では10月17日と約2週間も早いリリースとなった。国内版のリリースを待ちきれずについ北米版を購入してしまう自分のようなマニアにとっては、2度買いを避けるという意味でもありがたいことだ。今後も是非、本国との同時期でのソフト発売を期待したい。
さて、「スパイダーマン3」は言うまでもなくアメリカン・コミックの映画化作品だが、日本では「X-MEN」や「デアデビル」、「ファンタスティック・フォー」「ハルク」「スーパーマン リターンズ」などの作品が苦戦する中、驚異的な成功を収めてきている。これは単にVFXの問題ではなく、そこに描かれる主人公ピーターの苦悩が誰にでも理解しやすく、共感を得てきたことが要因に挙げられるだろう。実際、今回の「3」では感動が売りにされ、涙する女性の姿が何度もテレビCMで流され、その後の客足を伸ばすこととなった。
物語はピーターとMJのラブストーリーに、ピーターに復讐心を抱くパーカー、そしてピーターに思いを寄せる新キャラクター、グウェンの関係が複雑に展開する。そこにピーターの伯父を殺害したマルコ(サンドマン)と、グウェンに片想いしているエディ(ヴェノム)が絡んでくる。一見分かりづらそうな内容だが、そこはサム・ライミ監督の演出がカバー。流れるような展開で、瞬く間の2時間19分を味わわせてくれる。デビュー作「死霊のはらわた」から一貫して変わらぬその演出スタイルはコメディセンスも同時に磨きをかけ、充分巨匠の位置に到達している。
俳優たちはいまやすっかりお馴染みのメンバーばかり。ちょっと太めになったのが気になったトビー・マグワイアを始めとして、キルスティン・ダンスト、ジェームズ・フランコが集結。今回初参加となるのが、サンドマンを演じたトーマス・ヘイデン・チャーチ。ヴェノム役に全米では注目株のトファー・グレイス。そしてグウェン役にはM・ナイト・シャマラン映画で知られるブライス・ダラス・ハワード。いずれも映画に華やかさと奥深さを与える演技を見せている。
忘れてはいけないのがシリーズ通して出演の2人のゲストスター。1人は原作のスタン・リー。自身が原作の映画化作品では必ずカメオ出演しているが、本作ではピーターに「人間、1人でも世の中を変えられる」と教訓を与えている。2人目はサム・ライミ監督とは旧知の関係であるブルース・キャンベル。ホラーファンには「死霊のはらわた」のアッシュ役でおなじみだが、1作目ではプロレスのアナウンス役、2作目ではピーターに嫌がらせをする劇場のドアマン、そして今回は勘違いも甚だしいフランスレストランの受付をユーモラスに演じ、笑わせてくれた。
今回描かれたテーマは“許し”。身内を殺された人は、その殺害を行った人を許せるのか? ピーターが直面すべき人物は、第1作で愛する伯父を殺害したサンドマン。しかし、そのピーターも誤解ではあるが、父を殺した人物として旧友ハリーから怨みを買っている。その他にも私怨や嫉妬などさまざまな感情が登場人物同士の間に張り巡らされ、彼らの気持ちの行方が大きな流れを生み出している。
登場人物が増えたことによって、整理が付かなくなった点もあったことも付け加えておきたい。特にハリーの執事が重大なことを告白するくだりでは「何でもっと早く言わない訳?」と突っ込みたくなったし、エンディングにおけるサンドマンの処理の仕方にも疑問が残る。しかし、そんなマイナス点があっても、あふれんばかりのパワーで一気に楽しめてしまうのも事実。是非今回リリースされたBlu-ray Discで本作の実力を体感してもらいたい。
映像の圧縮方式はMPEG-4/AVC。常時高レートを維持しており、将来衛星放送などでオンエアされてもこれだけの画質の再現はありえないと思われる。ニューヨークの街並みをとらえたロングショットや、サンドマンのVFXなど見どころは満載。しかも、そのどれもがDVDでは絶対到達し得ないレベルの高画質なのだから、Blu-ray Discユーザーにとっては絶対に買い逃せないものになっている。
音声はオリジナルの英語をリニアPCMとドルビーデジタルで収録。日本語吹替はドルビーTrueHDのロスレス音声となっている。今後ソニーはこのドルビーTrueHDを積極的に採用していくようで、同梱の「1」と「2」ではオリジナル音声をドルビーTrueHDで収録し、リニアPCMは収録を見送っている。「3」の音響は大作のハリウッド映画らしく、広々としたダイナミックレンジで、SE、音楽とも絶妙のバランスで仕上げられている。特に前半におけるピーターとハリーの空中戦の様子や、クライマックスの超人バトルはサラウンドなしに見ることは考えられないほどの迫力だ。是非、家庭環境が許す限り最大のボリュームで視聴することを勧めたい。
ディスクの視聴は、プレイステーション3にヤマハのAVアンプ「DSP-AX4600」をHDMIで接続、映像は42インチのプラズマと液晶プロジェクターによる80インチのスクリーン再生で行った。
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