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野球大国アメリカ、そして訴訟大国アメリカならではのホームランボールの行方をめぐる狂騒を描いたドキュメンタリー「100万ドルのホームランボール 捕った!盗られた!訴えた!」が、11月21日にDVDリリースされる。特典映像はオリジナル&日本版予告篇を収録。
この事件が起きたのは、2001年10月7日、サンフランシスコ。地元ジャイアンツのバリー・ボンズが、それまでの年間最多記録を更新する73本目のホームランを打った。球場にいた人は、そのホームランボールを取ろうと躍起になった。何しろ、このボール、その3年前に、マーク・マグワイアが放った70号ホームランには270万ドルの値がついたからだ。いわば、記念ボール=アメリカン・ドリームということになる。
テレビカメラもその熾烈な争いを見つめる中、記念ボールを手にした男がカメラに向かってニッコリと微笑む。これが、日系アメリカ人のパトリック・ハヤシである。警備員に守られ、記者会見場へと向かう中、アレックス・ポポフというアメリカ人が顔を真っ赤にして怒鳴っていた。「あのボールを最初に手にしたのは俺だ!アイツは俺のボールを奪ったんだ!」と。
記念ボールを一度キャッチした男と、どんな手段にせよ最終的に記念ボールを手にした男。互いに主張を譲らないことから、ついに結論は法廷の場に持ち越される。テレビ局のビデオテープでの検証、目撃者の証言、当事者たちの言い分、国民の反応、そして延べにして626日間に及ぶ法廷闘争を追いかける。
ホームランボールにゾンビのように群がる人々。それはスタンド内だけでなく、球場を囲む海上にまで、ゴムボートがひしめくありさま。この光景には「よくやるなぁ」と微笑ましくもある。ニュースでも大々的に取り上げられるが、やがて泥沼の裁判劇が始まり、人間の強欲がさらけ出されるにつれ、世間の反感を買うように。バリー・ボンズも「ボールを売って、2人で山分けすればいいんじゃないの?」と呆れ顔でコメント。まさにその通り!
ボールを奪い返そうと、メディアに積極的に出て派手なパフォーマンスを繰り広げるポポフ。一方のハヤシは無言を貫く。人種が違う対照的な2人のキャラクターを通して、アメリカという国の現在の姿や行末までもが垣間見えてくる。この狂騒と人間の欲望を、皮肉タップリにまとめたマイケル・ラノヴィックス監督の手腕はお見事。
ロサンゼルス映画祭で観客賞、フェニックス映画祭で審査員賞に輝いた本作。とにかく笑えて、いや正直、面白かった!野球好きはもちろん、そうでない方も必見です。
関連サイト:http://www.homerunball.jp/(公式サイト)
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