ソニーは11月7日、リニアPCMレコーダーの新製品「PCM-D50」を発表した。11月21日から販売を開始し、価格はオープン。実売想定価格は6万円前後。
2005年に発売したリニアPCMレコーダー「PCM-D1」は、高感度マイクと徹底した低ノイズ設計による自然な音質と、アナログレベルメーターなど往年の“デンスケ”を思わせるデザインが特徴で、オーディオファンやハイアマチュア・ミュージシャンなどを中心に好評を得たモデル。しかし市場での価格は10万円以上と、一般ユーザーにとっては手の出しにくい存在だった。
新製品はこのPCM-D1で培った技術を受け継ぎながら、より手軽に楽しめるリニアPCMレコーダーとして開発された。サイズもPCM-D1に比べ一回り小さくなっている。アナログレベルメーターは搭載せず液晶表示となっているが、その分コストを抑え低価格化に貢献しているという。ボディは前面と背面にアルミ素材、側面にはマグネシウム素材を採用し、剛性を確保しながら軽量化を図った。
内蔵マイクには新たにR/Lのマイクをそれぞれ外側と内側に調節できる機構を備え、音源に合わせたセッティングが可能。マイクを内側に傾ける「X-Yポジション」では“自然で奥行きのあるステレオ感”が得られ、ソロ演奏などの近い距離での録音に適している。またオーケストラなどの“広がりのあるステレオ感”が得たい場合には、マイクを外側に向ける「ワイド・ステレオ・ポジション」で対応できる。最大入力音圧は120dBSPL。この数値はジェット機のエンジン音に相当するものだ。
新機能としてボタンを押した5秒前から録音が可能なプリレコーディング機能を搭載。「フィールドレコーディングなどで音の“頭”を失敗なく録ることができます」(同社)。そのほかにも、DATやMDの音源をデジタル録音できる光デジタル入力端子の搭載など、録音をサポートする便利な機能が加わっている。
再生はWAVに加えMP3に対応。音程を変えることなく再生速度を調節できるデジタルピッチコントロール機能も備え、“遅聴き”は4分の1倍速まで15段階、“速聴き”は2倍速まで10段階に調節が可能だ。楽器の練習時にお手本をスロー再生するなどの活用方法を想定しているという。
バッテリーもスタミナがアップし、単三形アルカリ乾電池4本を電源とした場合、CDと同等の音質を確保する44.10kHz/24ビット録音(ヘッドフォンによるモニターなし)で約24時間の駆動が可能になった(PCM-D1は約5時間)。
WAV方式での録音に対応し、サンプリング周波数/ビット数は調節が可能。最高で96kHz/24ビットでの録音に対応する。また、16ビットの録音でも聴覚上は20ビット相当の音質を実現する独自技術「Super Bit Mapping」を備えた。過大入力による音のひずみを防止するデジタルリミッターも採用している。
内蔵メモリは4Gバイト。最高音質の96kHz/24ビットで約1時間55分、44.10kHz/24ビットでは約6時間25分の録音ができる。メモリースティックスロットを備え、通常のメモリースティックのほか上位規格のメモリースティック PRO-HG Duoでの記録にも対応した。
本体サイズは約72(幅)×154.5(高さ)×32.7(奥行き)ミリで、重さは約365グラム。オーディオ編集ソフトとして「SonicStage Mastering Studio Recorder Edition」を付属する。またオプションとしてリモコン「RM-PCM1」(実売5000円前後)、三脚「VCT-PCM1」(実売7000円前後)、ウインドスクリーン「AD-PCM1」(実売5000円前後)、キャリングケース「CKL-PCMD50」(実売6000円前後)も同時発売される。
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