Lifestyle V30の特徴は多岐に渡るが、誰もが簡単に、その視聴環境やソースに応じて高音質が得られる「フールプルーフ」思想に基づいて設計されていることを、まず特筆しておきたい。
入力されたすべてのソースは、2チャンネル、5.1チャンネルに関わらず、ボーズデジタル回路で信号処理(ドルビーTrue HDやDTS HDマスターオーディオ等のHDオーディオデコーダーは未搭載)、ボーズが考える最適なミキシングが施され、5本のジュエルキューブと1台のベースモジュールに音が張り付けられる。その際、劇場用に録音された低音を一般家庭の音響特性に合わせて自動補正する「フィルムEQ」やセンタースピーカーをどの高さに置いてもその音が画面上に定位する「センターチャンネル・スクリーンロック」が働く。
また、音量を下げたときに大きな音と小さな音の差を自動的に縮めるD.R.C(ダイナミックレンジ・コンプレッション)回路や音量が小さくなるにつれて聞き取りにくくなる低域と高域のバランスを可変するP.A.P(サイコアコースティカリー・プロセシング)回路など、ボーズが長年培ってきた音響心理に基づく興味深い信号処理回路が搭載されている。
また、部屋ごとに異なる音響特性を測定・分析し、ボーズの考える理想のリスニング環境に自動チューニングする「アダプトiQ」回路の効果も興味深い。部屋の音響特性をヘッドセット・マイクを用いて、任意の5カ所で測定し、そのデータを平均化するというのがこの機能の重要なポイントだろう。国内メーカーの自動音場補正機能は、リスニングポイント1点で測定するというタイプのものばかりだが、部屋のどこで聴いてもいい音が聴けるように部屋の音響特性を“おおまかに”把握し、補正するボーズのやり方は、じつに「大人」だと思う。
そんなボーズLifestyle V30で、音楽/映画ソフトをいろいろ楽しんでみたが、CDで音楽を聴いても、DVDで映画を観ても、じつに自然に部屋の中を心地よい音で満たしてくれることが分かった。
スピーカー・モードには、5つのサテライトスピーカーをすべて使用する「5オーディオ」と「5ビデオ」、フロント3本を使う「3」、フロントL/Rのみの「2」の4種類があるが(もちろんすべてベースモジュールは働く)、5本と3本、2本で音質差、音圧差がほとんど感じられないところに、ボーズのヴォイシング(音の詰め)の上手さを実感する。
5オーディオと5ビデオがいちばん音質差があり、映画用にチューニングされたと思しき後者のほうがセンターチャンネルの中域成分が張り出し、力強い描写となる印象だった。
で、さまざま楽しんだソフトの中で、その表現力の素晴らしさに胸を打たれたのが、BD「ドリームガールズ」だった。
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