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“新世代パネル”搭載のVIERA、5シリーズ一挙に登場予備放電を3分の1に低減(1/2 ページ)

» 2008年03月06日 19時26分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 パナソニックは3月6日、夏の北京オリンピック商戦に向けた薄型テレビ新製品「新・ヒューマンビエラ」5シリーズ計12モデルを発表した。このうちプラズマテレビの3シリーズには、コントラスト比3万:1の新パネルを搭載するなど、画質をグレードアップ。五輪にちなんで「パワーアスリート画質」(同社)を訴求する。

photophoto 発表会場には5シリーズ12モデルが勢揃い。CMキャラクターの小雪さんと綾瀬はるかさんも登壇して華をそえた

 「オリンピックイヤーにテレビが売れなかったことはない」と切り出したパナソニックマーケティング本部の西口史郎本部長は、2008年のテレビ需要を前年比114%の1000万台以上と予測する。その根拠は、北京五輪が初の“ハイビジョンオリンピック”ということ。「前回のアテネの時は地上デジタル放送を実施していたのが東名阪の一部地域に過ぎなかったが、今回は視聴可能世帯数で全体の92%をカバーしている。また撮影から視聴まで、エンド・ツー・エンドでハイビジョンを楽しめる初のオリンピックだ」(同氏)。さらに日本との時差が1時間のため、ゴールデンタイムに注目の競技が多く見られる点も大きいと予測する。

photophotophoto 同社のテレビ需要予測(左、中)とパナソニックマーケティング本部の西口史郎本部長(右)

 新ビエラの内訳は、プラズマテレビが3シリーズに液晶テレビ2シリーズの12モデル15機種。従来にないバリエーションとして、プラズマでは46インチサイズのフルHDモデル、液晶では32インチのフルHDモデルが用意された。

予備放電を3分の1に低減した“新世代プラズマ”

 プラズマの3シリーズは、黒浮きを抑えてコントラスト性能を向上させた新パネルが特徴だ。パネル前面の誘導体層上に新素材の構造層「ダイナミックブラックレイヤー」を加え、初期電子放出時間の短縮と電荷保持電圧の低減という相反する課題を両立させた。

photophotophoto 新しいプラズマパネルの概要と構造。新素材の構造層「ダイナミックブラックレイヤー」で黒浮きを抑えた

 「ブラックボックス技術」(同社)のため詳細は明らかにされていないが、放電の高速化と安定化が最大のメリット。一般的なプラズマパネルではパネルが光っていないときにも種火(予備放電)が必要で、これが“黒浮き”の原因になっていたが、新パネルでは予備放電を従来の3分の1に低減し、コントラスト比3万:1(最大100万:1)を実現した。とくに黒の表現力が向上し、画面の“奥行き感”アップに貢献するという。

 また、42V型フルHDパネルで培った狭幅リブ(隔壁)の技術をより大きな50V/46V型に適用することで、パネルの開口率を向上させた。さらに蛍光体もリニューアルするなどして「明るく、ダイナミックレンジの広い映像を実現した」という。

 最上位のプレミアムモデル「PZ800」シリーズには、広色域パネルと「カラーリマスター」技術が追加された。パネルは前述の新しい蛍光体やカラーフィルタの搭載などにより、デジタルハイビジョン放送の色域(ITU-R BT-709)を100%カバー。ハリウッドの大手スタジオがまとめたデジタルシネマ規格で使用される色表現領域も“ほぼ満たしている”という。

photophotophoto デジタルシネマの色域をほぼカバーするという「カラーリマスター」技術(左、中)と外光の反射を抑える「クリアピクチャーパネル」の概要

 カラーリマスターは、BDのようなパッケージソフトを再生する際により忠実な色を再現するための回路技術だ。「パッケージソフトを制作するとき、ハリウッドのカラーリストたちはフィルムの色域をメディアに合わせて圧縮する。そのノウハウをカラープロファイルとして構築しておき、再生時に逆のプロセスを施せば忠実な色が再現できる」(パナソニックAVCネットワークス社、映像・ディスプレイデバイス事業グループ商品企画グループの和田浩史グループマネージャー)。なお、同技術はデジタル放送視聴時にも有効だという。映像エンジンは「新PEAKSプロセッサー」で、「世界最高」(同社)という最大18ビットの映像信号処理を行う。

 一方の液晶シリーズは、コントラスト比1万:1の新しいIPSαパネルを採用。上位モデルの「LZ85シリーズ」では、倍速駆動技術「Wスピード」にバックライト制御技術の「モーションフォーカス」を追加して動画表示性能の向上を図った。これにより横スクロールのテロップなどもきれいに映し出せるようになった。なお、apdc方式の動画解像度は、プラズマが900本以上に対して液晶は600本以上(LZ85)となっている。

photophotophoto 液晶シリーズもコントラスト比1万:1という数値を実現。上位シリーズには倍速駆動技術「Wスピード」にバックライト制御技術の「モーションフォーカス」を追加し、横スクロールのテロップなどもきれいに映し出せるようになった
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