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インタビュー
» 2008年03月12日 13時30分 公開

HDアニメーションの可能性に期待――「エクスマキナ」荒牧監督インタビュー(2/3 ページ)

[本山由樹子,ITmedia]
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――細野晴臣やプラダも参加していますが、プレッシャーはありましたよね?

荒牧監督: とんとん拍子で話が進んだので、プレッシャーを感じる暇かなかったというのが正直な感想ですね。音楽プロデューサーから「ミウッチャ・プラダさんが企画に賛同してくれてデザインしてくれるっていうけど、どう?」って言われて、「本当っすか」みたいな感じでした。それから2週間後に本当にデザインが出来上がってきて(笑)。それを元にCGのキャラクターに着せた画像を作ったら、ミウッチャ・プラダさんから「それができるなら、もっとこうしましょう」と、どんどん話が膨らんでいって、大変でしたけど、面白かったです(笑)。前作を初日のオールナイトで見たという細野さんも「面白そうだからやるよ」と引き受けていただけました。自然に参加していただいた印象があって、うれしかったですね。

photo (C) 2007士郎正宗/青心社・EX MACHINAフィルムパートナーズ

――「アップルシード」のときの衣裳もスタイリッシュでしたよね。

荒牧監督: そういわれると嬉しいんですが、正直ファッション系の話には自信がなくて(笑)。アニメと違ってCGだと服の質感もハッキリと分かる。今回は質感にこだわりたかったのですが、たとえば、革ひとつにしても色々あって、どの革がイケているのかサッパリ分からない。だからスタイリストの必要性は感じていたんですが、誰に頼んだらいいかこれまた分からない(笑)。ちょうどその時にプラダさんの話が出たので「それは凄すぎるでしょ」とスタッフと驚愕してました。

――確かに質感は凄かったですね。

荒牧監督: そこはかなり意識しました。CGはどうしても冷たくて無機質という印象をもたれることが多いので、人としての存在感まで表現したかったんです。

――ほかに力を入れたシーンはどこですか?

荒牧監督: 群衆シーンですね。群衆シミュレーションソフト「MASSIVE(マッシブ)」を導入しました。「ロード・オブ・ザ・リング」の合戦シーンに使われたものと同じなんですが、ソフトといいながら、これを使いこなすためにアメリカからチームがやって来まして、何ヶ月かレクチャーを受けて、それでやっと20人が集団で歩いています、みたいなレベルで(笑)。コントロールがとにかく大変なんですよね。でも最初は5カットくらいが精一杯という状態が、スタッフががんばってくれて、最終的には数10カットか使っています。

――確かに「アップルシード」より遥かに群衆シーンが多かったですよね。

荒牧監督: 「アップルシード」のときはスケジュールの問題が一番大きかったと思うんですが、逃げ惑う群衆はなしとか、街中には何もなくてよしとか、そのかわりビルは建てようとか、そういう割り切りをしたんです。それが心残りだったんで、今回は人がたくさんいて、広告が溢れて、街に生活感があるように、活気があるようにと頑張りました。そうしないと、“街に対して思い入れのある主人公たち”というバックボーンがなくなってしまう気がして。DVDで何回も止めてご覧になっていただきたいですね。でも、よく見ると、使い回しをしているシーンもあるんですよ(笑)。夜と昼のシーンで、ライティングとアングルを変えるだけで、こんなにも違うんだと、僕自身も感心しましたから。映画のセット的な発想ですよね。

photo (C) 2007士郎正宗/青心社・EX MACHINAフィルムパートナーズ

――ライティングは映画に近いですよね。

荒牧監督: ほぼ一緒ですよね。発想としては、どこをどう明るくして、どこに影をいれて、みたいなことですね。この作り方だと、人物の動きの芝居のOKがでると、それに対していろんな絵作りができる。しかも後からカメラが置けるというのが強みでもあり、楽しみでもあります。

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