今からちょうど4年前、アテネオリンピックを控えて薄型テレビが盛り上がっていた頃に「“壁掛けテレビ”は絶滅寸前」という記事を書いた。当時は薄型化より大画面化に注目が集まり、プラズマテレビもチューナー一体型が当たり前になっていた時期。テレビは薄くなったが、重すぎて壁掛けは難しいという認識が一般的だった。
しかし、北京五輪を控えた今年はちょっと状況が違う。昨年後半から“超薄型テレビ”が注目を集め、シャープや日立製作所のように、改めて「壁掛けテレビ」を浸透させようとする動きが出てきた。絵画のように飾られたテレビのCMを見て、忘れかけていた壁掛けテレビを再認識した人も多いのではないだろうか。
中でも熱心に取り組んでいるのが、「UTシリーズ」で35ミリ厚という薄さを実現した日立製作所だ。同社のユーザーアンケートによると、UTシリーズを購入した人の60%が「薄さ、軽さ、壁掛け」を理由に挙げ、実際に15.2%が壁掛け設置にしているという。従来の「01シリーズ」では0.7%に過ぎなかったというから、“軽薄なテレビ”(ほめ言葉)が壁掛け需要を喚起したと言って間違いない。
欧米と違い、日本で壁掛け設置がなかなか普及しない背景には、家屋の壁に石膏ボードが多く使われていることがある。石膏ボードは断熱性や難燃性という優れた性質を持つ一方、もろくて木ネジやボードアンカーが効かない。軽くなったとはいえ、UTシリーズの32V型でもディスプレイ部は10.9キログラムの重さがあり、壁の補強工事なしで壁掛け設置するのは難しい。補強工事の手間とコストが“壁掛け”のハードルを上げている。
しかし、昨日の新製品発表会で日立は「日本の家屋に壁貼りテレビを!」をスローガンに掲げ、「日本全国壁貼り計画」の開始を宣言した。壁“貼り”とは、ちょっと大げさな気もするが、同社が用意したソリューションには「壁寄せスタンド」のほか、ユニークな「石膏ボード対応の壁掛け金具」が用意されている。
日立がUTシリーズのオプションとして用意した壁掛け金具は、薄型テレビと宅内ネットワークの専門施工業者であるテレハング(Telehang)の方式を採用したもの。だから実際は「日立がテレハングの方式に正式対応したと捉えるのが正しい」(日立)。
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