夏の風物詩、打ち上げ花火を撮るのである。
花火を撮るときのコツはまず2つ。
ひとつは、撮れる場所を確保すること。
花火をきれいに撮るためには、まず花火に近すぎないこと。近いと視界全部が花火になって目の前が光の軌跡だらけになり、迫力があって感動的に異世界にトリップしたような感覚を味わえるけれども、撮影には向かない。そういういい場所を確保できたら、撮るより全身で味わった方がいい。
遠すぎると望遠で撮らなきゃいけなくなって難しい。
おすすめは200〜500メートルくらい離れた場所だ。
さらに、前の人が邪魔にならず、後ろの人の邪魔にもならない場所。斜面や階段だとベスト。立たないとみられない場所はよくない。
今回は川辺の花火大会を撮りに行ったのだが、撮影場所は打ち上げ場所から川を挟んだ反対側で、打ち上げ位置から300〜400メートルあたりの場所。土手の斜面に陣取った。
ちょっと大きな花火大会だと、花火撮影好きの面々が早くから三脚を立てて陣取っているので、それを参考にするのがおすすめ。
ふたつめは三脚を持っていくこと。使うカメラがコンパクトデジカメなら軽くて軽量な旅行用三脚でもOK。重さも1キロ以下で大きめのバッグにさっと入れられる。
そしてカメラは三脚に装着して目の前に置いておくべし。
今回の用意はこんな感じ。
左が低価格デジタル一眼レフ代表としてニコンの「D40X」。レンズは18〜200ミリという高倍率ズームを持ってきたが、花火まで300メートル程度ならカメラキットについてくる標準的なレンズで十分間に合う。三脚はカーボン製のもの。軽くて頑丈だがちょっと高価。
右はハイエンドコンパクトデジカメ代表として、リコーの「GX200」。三脚はコンパクトカメラ用の安くて軽いものだ。このくらいの三脚ならたいして荷物にもならずに使える。
さらにもう1台、普及型コンパクトデジカメ代表として、キヤノンの「IXY Digital 820 IS」も持っていった。
この3台である。
とりあえず、フルオートで撮ってみた。
写真になってないですな。ちなみに、フルオートで撮ったのでフラッシュは発光している。わざとこういう瞬間を狙ったわけじゃないのだが、オートフォーカス(AF)に時間がかかった上にピントを合わせられず(夜空にAFは基本的に無謀)、そのためにシャッターの下りるタイミングが遅くなって花火のタイミングに合わなくなった、という結果。ピントが合ってて花火が開いた瞬間ならもっとちゃんと撮れるけれども、ダメダメな例としてこれをのせてみた。
コンパクトデジカメの場合はフラッシュをオフにすると、今度はシャッタースピードが(ほぼ自動的に)遅くなることがほとんどで、そうなるとブレブレになっちゃう。難しいのである。
では、ちゃんと撮ってみる。
IXY Digital 820 ISを三脚に据え付け、シーンモードから「打ち上げ花火」を選択。
現在販売されているコンパクトデジカメならたいてい「花火モード」を持っているはず。これを使わない手はないのだ。花火モードがないときは、夜景モードで代用できるかも。
そうして撮ったのがこちら。
今回撮影した花火は打ち上げ場所がすごく広くて、同時に数カ所で花火が上がるのである。カメラの一番広角側で、ぎりぎりというくらい。
さて「花火モード」の解説を簡単に。カメラによって違うが、だいたいこんな感じだ。
花火モードにすると、
となる。重要なのは(5)のシャッタースピード。
シャッタースピードが2秒と遅いおかげで、花火の光の軌跡がきれいな曲線として記録されるのだ。
あとはタイミング。「2秒」と決まっているので、2秒後に花火が一番開いているくらいのタイミングでシャッターをそっと押す(力を入れて押すと三脚につけててもブレちゃうから)。だいたい、花火が開く瞬間くらいにシャッターを押せるといいだろう。
そして、2秒と固定されているので、弱い花火だと光りが弱いし、いくつもの花火が一斉にあがるときは明るすぎて「空中大爆発」になっちゃう。
あとはもう花火を楽しみつつ、タイミングを見計らってシャッターを切るべし。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR