本体にはプリセット用のボタンが7つと、バックライト付きの液晶画面が備えられている。裏面にはモノラルのイヤーレシーバーが収納されており、コードを引き出して使う。
イヤーレシーバーはアンテナ代わりにもなり、FMラジオをクリアに聞くためにはコードを延ばす必要がある。引き出したコードは巻き取り用のつまみを動かすだけのワンタッチで収納可能。本体横にはイヤーレシーバー用の端子もあり、別売りのイヤーレシーバーを使用できる。また、スピーカーとイヤーレシーバーの切り替えボタンを操作することで、音声の出力方法も簡単に切り替えられる。
エリア設定は都道府県から選べる「スーパーエリアコール」と、山の名前からエリアが選べる「山エリアコール」の2種類がある。このラジオの最大の目玉である「山エリアコール」だが、スーパーエリアコールが全国を15エリアに分けているのに対して、こちらは山域別に20エリアに分けている。
例えば、エリア1「北海道北部」に含まれる山は利尻岳、エリア9「茨城県」に含まれるのは「筑波山」、エリア12「長野県北西部/新潟県西部/富山県東部/岐阜県北東部」に含まれるのは妙高山や白馬岳、剱岳、黒部五郎岳、穂高岳、槍ヶ岳、乗鞍岳など計22の山となっている。収録されている山は、深田久弥による「日本百名山」の100山を含む117山。ただしここに含まれていない山でも、最寄りの山エリアを指定すれば該当する可能性が高い。なお、エリアの分類表は「山エリア一覧カード」として小さな2枚のカードにまとめられており、前述したキャリングケースに入れて持ち運べるようになっている。
使い勝手自体は、山エリアコールの機能を除けば普通のPLLシンセサイザーラジオと変わらない。その完成度の高さは、さすが定評あるソニー製のラジオだ。山エリアコールは、正直いって「なくては困る」というほどの機能ではないが、使ってみると意外と便利だ。もちろんこの機能は必要ないという人も少なくないと思うが、なにも考えずに山名からエリアを選択できるというのは、個人的には楽だと感じた。
不満点があるとすれば、本体が防水仕様でないこと。“山用”とアピールするのであれば、最低でも防滴仕様にしてほしかった。まあ防水にするとそのぶん大きく重くなってしまうかもしれないが、キャリングケースが大きめであることを考えれば、ケースを小さくして本体のほうを防水にする手もあっただろう。ちなみに付属の「山エリア一覧カード」もペラペラの紙なので、これも水には弱い。雨に降られたときのために、あらかじめラミネート加工しておいたほうがいいと思う。
このような不満もあるが、なによりも登山愛好家のために専用のラジオを作ってくれたという、その心意気がうれしい。できればマイナーチェンジを重ねつつ、息の長い商品になってもらいたいものだ。
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