テレビで「シャリーン」の使い方――BRAVIA「W5/F5シリーズ」
ソニーが3月2日に発表した“BRAVIA”「W5/F5シリーズ」には、FeliCa(フェリカ)ポートを搭載した「おき楽リモコン」が付属する(→ソニー、「BRAVIA」にスタイリッシュな“4倍速”液晶モデル)。おサイフケータイや「Suica」などの交通系ICカードでもすっかり身近になったFeliCaだが、お茶の間のテレビに付くとどのように便利になるのだろうか。今後の展開を含め、関連各社の話をまとめてみた。
既報の通り、「おき楽リモコン」では、Edyカードやおサイフケータイを載せて電子マネー決済が行える。現時点で利用できるのは「アクトビラ ビデオ・フル」の有料コンテンツだけで、アクトビラの中でも「TUTAYA TV」など一部のサービスは非対応だ。
使い方に難しい部分はない。アクトビラの有料コンテンツ購入画面で決済方法としてEdyを選択したあと、リモコンの下部にあるFelicaポートにEdyカードや携帯電話をかざし、リモコンの「Felica」ボタンを押す。すると、おなじみの「シャリーン」という音がテレビのスピーカーから流れて決済完了。Edyの決済サーバと情報のやり取りができるのは、双方向通信が可能な無線方式を採用したおき楽リモコンならではの機能といえる。
従来のクレジットカード決済では、最初にカード番号などを入力する煩雑さにくわえ、カード番号をインターネットで送ることに不安を感じる人も多い。しかし、プリペイド型電子マネーのEdyで決済すれば、カード番号の入力は必要なくなり、アクトビラの会員登録さえも不要だ。もちろんリモコンとテレビのワイヤレス伝送部分は暗号化され、インターネット伝送時もSSLと暗号化でデータは守られる。「手軽でセキュリティが高く、匿名でコンテンツを購入できる。クレジットカードのように年齢で制限されることもない」(ビットワレット)。
W5/F5シリーズの「ネットワーク」メニューには、新たにビットワレットの「EdyViewer」が加わった。EdyViewerでは、Edyのチャージ、残高照会、Edyギフト(ポイント交換やキャンペーンの商品として送られたEdy)の受け取りが可能。残高照会の画面では、最新6件の取引履歴も参照できる。
ただし、おき楽リモコンを使ってクレジットカードからEdyへチャージするためには、事前に携帯電話かPCを使ってサービス登録を行っておく必要がある。このあたりはPC内蔵型や「パソリ」(外付けFeliCaリーダー/ライター)などと異なる部分だ。
おき楽リモコンでは、Edyのほかにソニーファイナンスが提供する「eLIO」も利用できる。eLIOはクレジットカードに電子マネー機能を統合したもので、電子マネーとして使用しても料金はクレジットカードと同じ口座から引き落とされる仕組み。「チャージの手間がいらず、オンライン決済時にネットワークへ流れるのは電子マネーの情報だけ」(ソニーファイナンス)というメリットがある。なお、eLIOカードには同社の「Sony Card」「My So-net Card」のほか、「オリコカードeLIO」、携帯電話用の「eLIOモバイルアプリ」などがある。
アクトビラ以外の対応は?
せっかくFeliCaポートを搭載したのであれば、やはり「Suica/Pasmo」といった交通系や「nanaco」など大手流通系の電子マネーを含めてサポートの拡充を期待したいところ。普段使っているICカードをそのまま利用できれば、ユーザーの利便性は大きく高まるだろう。また、アクトビラ以外のコンテンツサイトへの対応、あるいはECサイトでの物品購入などに利用したいといったニーズが出てくるはずだ。
これらの点をソニーに確認すると、まず交通系FeliCaなどへの対応は技術的に可能になっているという。「FeliCaポートのエンジン部はSuicaなどにも対応できる仕様にした」(ソニー)。
一方、ECによる物品購入などについては、事業者側の対応次第といえる。「問題は、現在のECサイトがPCや携帯電話を前提にした構成になっていること。例えばPC向けにフラッシュなどを使っているサイトは、そもそもBRAVIAのブラウザで表示することができない。家電向けに作り込む必要がある」(ソニー)。
BRAVIAのブラウザは、デジタルテレビ情報化研究会の仕様に沿った形で作られていて、コンテンツの作成ガイドラインなども用意されているため、技術的に難しいところはない。ソニーでは、今回の製品発表を機に、それぞれの事業者に対して採用を働きかけていく方針だという。むしろ障壁になるのは、FeliCaポートを採用したテレビがまだ2シリーズしか存在しない状況で、ほかのICカード事業者やEC事業者などをその気にさせることができるか? という点だろう。
無線方式のリモコンに関しては、シャープがAQUOSの上位モデルに採用しているほか、RF4CE(Radio Frequency for Consumer Electronics)を通じて統一規格を作る動きもある(→リモコンの無線化(RF)を進める2つの技術)。RF4CEの場合、ベースになる無線技術は、おき楽リモコンと同じ近距離無線規格のIEEE 802.15.4。パナソニックやフィリップスといったメーカーも名を連ねているため、今後の展開によっては他社から同様の機能を持つ製品が登場してもおかしくはない。
テレビ向けネットサービスのハードルを「シャリーン」と下げてくれるFeliCaポート。おサイフケータイのように一気に導入が進むとは考えにくいが、テレビ向けネットサービスを推進する材料として、また電子マネーの利用シーンを増やすものとして期待できそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
2
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
3
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
4
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
5
Xの「いいね」長押しで1ドル送金 マスク氏が“投げ銭”機能を予告
-
6
「楽天ドライブ」に不正アクセス 保存したデータなど1.5万アカウント分が取得・閲覧のおそれ
-
7
たばこ休憩なき時代の“一服”をどう取るか 温熱と“聞こえない音”で休む、JT子会社のアイマスクを試す
-
8
「能動的サイバー防御」きょう開始 警察・自衛隊などが攻撃元サーバを無害化 高市首相も狙いを説明
-
9
パナソニックHD子会社、使用禁止の生成AIに従業員約33万人分の個人情報をアップロード
-
10
「漏えい」の一言で素通り客が振り返る──相次ぐ情報流出の中で開幕のセキュリティ展示会 来場者の態度も激変
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR