最近、家であまり音楽を聴かなくなった。食事をしながら、お酒を飲みながら、音楽でも聴きたくなったときには、もっぱらBSハイビジョンやWOWOWで録りためた音楽ライブを観賞するようになった、というのが主な理由だろうか。純粋に(映像抜きで)音楽を楽しむ時間もなくはないが、電車などでの移動中におけるiPhone使用がほとんどだ。
もはやいうまでもないが、iPhone/iPodのような携帯音楽プレーヤーでは、ごく手軽に音楽を楽しめる。とはいえ、家でもヘッドフォンで音楽を聴くという気にはならない。外でヘッドフォンを使うのは、パーソナルに音楽を楽しむという目的に加えて、「バリアを張る」という意味合いもあるわけだが、家にいるときまでバリアを張ることなど、少なくとも自分には必要ない。
では、家ではどういう手順で音楽を聴くかというと、もちろん、もう何年も前から手持ちのCDはロスレス品質でNASに取り込んでおり、PCからリビングのオーディオセットへ出力する接続にはなっている。そのため、とくに手間をかけずとも聴けるのだが、なんとなく携帯音楽プレーヤーの手軽さとは違う……。
「じゃあ、iPod/iPhone用のスピーカーでも買えば?」ということになるのだが、失礼ながらその手の製品はどうもいまいちなんじゃないかという、勝手な先入観がある。もちろん、この分野においては、オーディオ界の名立たるメーカーたちも製品をリリースしているわけだが、それでもなあ……というのが正直な気持ち。しかし、「いつまでも先入観に支配されたままではいけない!」ということで、ヤマハのデスクトップオーディオシステム「TSX-70」を使ってみることにした。
ご存じのとおり、ヤマハは楽器はもちろんのこと、幅広い製品を手がける音響機器メーカーだ。音源チップなど電子分野で蓄積した技術を生かし、現在ではとりわけ、ホームシアター機器やコンパクトオーディオの製品づくりにおいて定評がある。
同社では、多彩な携帯音楽プレーヤー/音楽機能つき携帯電話対応のオーディオ機器を展開しているが、TSXシリーズはクロックラジオとしての使い勝手を追求し、リビングのテーブル上やベッドサイド、キッチンなどでの利用を主に想定した製品だ。そして、今回紹介する「TSX-70」では、iPod/iPhone対応オーディオ、クロックラジオとしての基本を抑えるとともに、CDプレーヤーやUSBポートなどは省略し、シンプルさとコンパクトさを究めている。
多くのクロックラジオがリラックス感を与えるような、あまり主張しないデザインのものが多い中、「TSX-70」は少し異なった雰囲気を醸し出している。フロントパネルはブラックで、中央に大きく目立つオレンジカラーの時刻表示部が配された、いわば硬質的な趣だ。ソース(iPod/AUX/RADIO)、ボリューム、プリセット(ラジオ)を操作するためのノブダイアルもアナログチックで、コンパクトなボディとあいまって、所有感をくすぐってくれる。
また、フロント/トップパネル以外は、ベージュ、ダークブルー、ブラウンという3種類のカラーバリエーションが用意されており、自分の好きな色、もしくは置きたい場所に合わせて、購入時に選べばいい。今回使用したベージュモデルの場合は、白に近いベージュと黒という際立ったコントラストが目を引くが、ベージュの部分はレザー調仕上げとなっており、和紙にも似た質感と手触りで、硬質的な雰囲気の中に独特の和らぎを感じさせてくれる。
トップパネル中央にはiPodドックが搭載され、ドッキングすることでiPod/iPhone内の音楽を再生可能。もちろん充電機能も備わっている。また、その周囲にはタイマー/アラーム設定、FM/AMの切替や選局プリセットなどを行うボタンがあり、これらはすべて自照式だ。主に寝室での利用を想定した配慮からだが、各種設定時に次に押すべきボタンが光るという仕組みにもなっているため、操作の流れが非常に分かりやすい。また、フロントパネル表示の明るさは3段階に調節可能な上、周囲の明るさに応じて自動調節する照度センサーも搭載ずみだ。
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