HDDやBlu-ray、カセット型HDDなどを内蔵した録画機能付テレビがどんどん増えている。結線の必要がなく、ふだん使いのテレビ用リモコンで簡単に録画指令が出せるそれらの製品を実際に使ってみると、やはり快適なことこのうえない。
なるほどテレビが録画機能を持つという流れはもう誰も止められない、単体Blu-ray Discレコーダーが生き残っていくには、それ自体に機械としての魅力を付与して存在価値を高めていく必要がある……などと考えていたところに、ソニーから素晴らしい高級レコーダーが登場した。9月25日に発売される「BDZ-AX2000」だ。筆者はこのモデルの最終試作機を手元でじっくり使う機会があったので、今回はそのハンドリング・リポートをお届けしたい。
ソニーはこの秋、本機のほかに5機種のBDレコーダーを発売するが、すべて3D BD ROMが再生でき、BS11の3D放送やスカパー! HDの3Dチャンネル録画も可能だ(後者はシングルチューナーモデルのBDZ-AT300Sを除く)。
本機BDZ-AX2000は、2TバイトのHDDを搭載した最上位モデル。現行のトップエンド機「BDZ-EX200」に比べてサイズダウンが図られているが(とくに奥行。334ミリから288ミリになった)、シンプルでスクエアな高級感あふれるデザインが継承されている。本機のルックスのよさは、家電チックな他社製品を圧倒していると思う。
BDZ-AX2000の画質・音質のよさは後述するとして、ぼくがまず驚いたのは、従来のソニー機で不満だった機能性が抜群に向上していることだった。とくに起動の速さにはビックリ。これまでの緩慢な動きがいっったい何だったの? と思わせる素早さ。「瞬間起動モード」に設定しておけば、なんと0.5秒で立ち上がるのだ(従来は約6秒)。そして約2.5秒後には操作可能状態に。しかも待機消費電力は、BDZ-EX200の高速起動モードの35ワットよりも少ない30ワットだ。最近ますますセッカチになってきた五十代のぼくにとって、この俊敏さは何よりありがたい。
本機は地デジ、BSともにダブルチューナー仕様となっており(110度CSも)、従来分かりにくかった「録画1/2」の概念を撤廃、非常に分かりやすいダブル録画機能を有している。AVC RECによる2番組フルHD長時間録画が可能な上、2番組同時録画中に(DR、AVC長時間録画問わず)、BD ROM再生が可能なのをはじめ、追っかけ再生、早見再生やHDD からBDへの高速ダビングもできるようになった。ヘヴィエアチェッカーにとって、じつに頼もしい進化ぶりといえるだろう。
画質についても、録画系・再生系ともに大きく進化している。録画画質については、長時間記録時における「インテリジェントエンコーダー2」と呼ばれる第3世代のAVCエンコーダーの搭載が注目ポイント。刻一刻と変化する画像に合わせてビットレートを割り当てる“ダイナミックVBR”の精度向上とともに、EPGの番組情報に応じてエンコード・アルゴリズムを最適化する“ジャンル別エンコーディング”が進化、3倍記録(平均8.5Mbps)のSRモードで録ったものを現行の「BDZ-EX200」と比べても、S/N感、解像感、階調表現、色乗りのすべてに渡って明らかに画質向上していることが分かる。
また、今回のAVCエンコーダーに新たに投入された「ビジュアルアテンション」技術も興味深い。これは、人物の顔など人間がもっとも注目する被写体を認識し、そのエリアを保護することで低レート時の画質を高める手法。確かにHD収録のドラマを8倍記録(平均3Mbps)のLRモードで録ってみても、女優さんのフェイストーンをかなり忠実に再現する。これは着眼点がとても面白い技術だと思った。
今回は11倍記録(なんと平均2.1Mbps!)のERモードが新設されたが、本機はこのモードでもフルHD解像度を守っている。ぼくがこのモードを使うことはたぶんないと思うが、試しにセル画アニメをこのモードで録ったのを見たが、思いの外よくまとまった画質で、ちょっと驚いた。
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