ソニーが11月25日に発売した「HX80Rシリーズ」は、“録画テレビ”ジャンルで他社に先行された同社が逆転を狙って送り出した意欲作だ。録画機能は最新の同社製Blu-ray Discレコーダーに準じたもので、500GバイトのHDDとBlu-ray Discドライブを搭載。2番組同時のAVC録画も行える。液晶パネルはお得意の4倍速で、LEDバックライトに3Dレディーと、最新のトレンドを「これでもかっ」とばかりに盛り込んだ。
HX80Rシリーズには、40V型、46V型、55V型の3サイズがあり、40V型は市場にある3D対応テレビとしては最小サイズ。今回は、別売の3D対応アクセサリー「3Dシンクロトランスミッター」と「3Dメガネ」をセットにして40V型の「KDL-40HX80R」を検証する。
まずは外観チェックから。光沢ブラックの狭額フレームが液晶画面を囲み、下部にあるヘアライン加工の金属的なラインがアクセントになっている。全体的なイメージは春モデルの「EX700/EX300シリーズ」の系統といえる。スタンド部はオーソドックスな長方形タイプで、左右の首振りも可能。スピーカーは下向きに配置されているため、前からはまったく見えない。
向かって右側面には、スロットイン式のBlu-ray Discドライブと操作ボタンを縦に配置した。BDメディアを挿入すると、自動的に映像が切り替わるといった一体型ならではの使い勝手も実現している。
一方の左側には入力端子が充実。例えばHDMI端子は背面に1系統しかないのに対して、側面には2系統あったりするのはユニークだ。USB端子は側面のみ。レコーダー機能を内蔵したため、据え置き型のレコーダーよりもビデオカメラなどの接続性に配慮した結果だろう。
リモコンは、裏返すとリモコンに見えない、いわゆる“文鎮(ぶんちん)リモコン”を採用している。文鎮リモコンも春モデルからの継続採用となるが、録画機能の搭載に伴ってボタン配置は大きく変わった。例えば、従来はHDMI接続した機器を操作するリンク機器用のボタンがあったところに再生系のボタン類が並び、方向キーの左下には「録画」ボタンが設けられている。番組表で目的の番組を選び、この「録画」ボタンを押せば、一発で予約が完了するといった機能もある。
背面の「3D」端子にオプションの赤外線トランスミッターを接続し、3Dグラスをかければ3D表示の準備は完了だ。“3Dレディー”モデルというと、「HX900シリーズ」などと同じ印象を受けるが、Blu-ray 3D対応のレコーダーを内蔵したぶん、3Dに対するハードルは下がった。
Blu-ray 3Dを挿入すると、自動的に信号を検出して表示モードを切り替えてくれるため手間はいらない。放送波のサイド・バイ・サイド番組の場合は、3D信号であることをテレビに伝える仕組みがないため、メニューから手動で切り替える必要がある。これは他社製品でも同じだ。
まずは、デモディスクに入っていた「くもりときどきミートボール」や「ソニーアクアリウム」「旭山動物園」など、各種イベントでもお馴染みの3D映像を鑑賞する。照明を抑えた室内では画面の明るさに不満を感じることもなく、フルハイビジョン解像度の3D映像を楽しめた。ただ、既報の通り、同社はフリッカー対策で偏光フィルムを省略した3Dメガネを使用しているため、顔を傾けたとたん映像が二重に見えてしまう。
もっとも、現在のフレームシーケンシャル方式3Dテレビでは、3H(画面の高さの3倍)の距離で、画面を正面から見るのが基本だ。多少見え方は異なったとしても、横になって3D映像を見ていては目に余計な負担がかかるのでオススメできない。それを前提に考えると、偏光フィルムの有無はあまり関係ないといえるだろう。
2D→3D変換機能は、少々控えめな印象だった。「カーグラTV」など立体になったら面白そうな番組を見つくろって視聴してみたが、飛び出し感はあまりなく、「背景が少し奥まったかな?」というレベル。むしろ、スタジオ収録のバラエティー番組のように明るい映像のほうが効果を感じた。
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