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“RD”の血統再び、REGZAブルーレイ「RD-BZ800」を試す(後編)レビュー(3/4 ページ)

» 2010年12月01日 19時36分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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フルハイビジョンで最大12倍録画、SD解像度での長時間AVC録画もサポート

 RD-BZ800のAVC録画モード(MPEG-4/AVC)は、フルハイビジョン解像度で最大12倍の長時間録画が可能だ。2010年春モデルは5.5倍、実質の前世代となるRDシリーズ(RD-X9/S1004K/S304K)では7倍だったので、低ビットレート化を一気に進めたことになる。2MbpsでフルハイビジョンのAEモードであれば、1層BDに約26時間30分、2層BDに約53時間30分の保存が可能であり、1年分の1時間番組(実質50分程度)も2層BD1枚に収まる。またSD解像度であれば1.4Mbpsまでビットレートを下げることが可能で、2層BDで約76時間30分、2層DVDでもAVCRECで12時間近く保存できる。こちらも使い道は色々とありそうだ。

 では、画質はどうだろうか。ここでは放送波そのままのDRモード、ANモード(8Mbps)、AEモード(2Mbps)に、ユーザー設定でMNモードの4Mbpsを加えて比較した。基本的にはメーカー推奨ともいえるプリセットモードだけで比較したかったのだが、プリセットのANモードとAEモードは4倍もビットレートの開きがあるため、間を埋める意味でMN 4Mbpsモードを加えている。

 まずは比較的動きの少ないシーン。といっても花が風で揺れており、静止画状態ではない。この例ではおしなべて優秀と言え、もっともビットレートの低いAEモードまでエッジの乱れも少なく、ボケた背景の描写もキレイだ。花びら部分の模様などはビットレートに応じて失われているが、この点ではANモードはかなり頑張っているし、AEモードでもそれらしい描写がされている。AEモードは少しソフトな印象も受けるが、これはANモードとMNモード4.0Mbpsは高速トランスコード対象なのに対して、3.4Mbps未満となるAEモードは非対称なのでプロセスが異なる点も影響しているのかもしれない。

左上からDRモード、ANモード、MNモード4Mbps、AEモード。解像感はMNモード4Mbpsまでかなり維持されている。AEモードも全体に乱れが少なく、まとまりが良い

 次は画面全体に動きの多いバッドケースだ。流れの速い川が背景で、DRモード、つまり放送の段階でもビットレート不足で既にブロックノイズが発生しているシーンとなる。こちらではビットレート毎の画質差が大きくなり、ANモードはかなり頑張って全体の雰囲気を伝えているが、MNモード4Mbpsでは背景が盛大なブロックノイズ化して左下の水しぶきの部分もハイトーンな部分以外は背景に溶けこんでしまった。小鳥のエッジの乱れも大きい。

左上からDRモード、ANモード、MNモード4Mbps、AEモード

 おもしろいのはAEモードで、背景はかなり大雑把な描写になっているものの、小鳥のエッジは比較的きれいに描写され、MNモード4Mbpsより乱れが小さい。前編の高速トランスコードの表を見ると分かるが、3.4Mbps未満のビットレートではトランスコードがほぼ等速になる。これは、情報量より全体のバランスを重視した絵作りにするため、画質変換のプロセスを大きく変えているためと予想できる。本機では2Mbps未満ではSD解像度となるが、最低1.4MbpsのMPEG-4/AVC録画と画質変換をサポートしている。この仕様も、低ビットレートはバランス指向で変換プロセスを変えていると思えば納得できる。

 アニメなども含めてチェックすると、画質はビットレート3.4Mbps以上ではほぼリニアにビットレートが反映され、情報量の欠落は少なめという傾向だった。室内シーンが中心の動きが少なめのドラマなどでは低ビットレートでもかなり頑張るが、スポーツ中継やアニメの戦闘シーンなど全体に動きが大きなシーンではブロックノイズの出現が競合製品より少し早めな印象は受ける。ただし、既に触れたように3.4Mbps未満では画質変換のプロセスが変更され、情報量の欠落が少し大きめになる代わり、ブロックノイズが目立つ傾向は控えめになる。低ビットレートで録画や画質変換ダビングを行う場合には、この傾向の変化を頭に入れておくと良さそうだ。

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