ヘッドフォンからテレビ、ホームシアターまで、さまざまなジャンルの数多あるAV系新製品の中から注目の新製品をピックアップし、いち早いレビューをお送りしていく「野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review」。今回は、iPod対応一体型スピーカーシステムとしていち早くAirPlayに対応、USBオーディオデバイスとしての機能も持ち合わせる高級&多機能モデル、B&W「Zeppelin Air」(ツェッペリン・エアー)を紹介しよう。
ことオーディオの世界、なかでもスピーカーに関しては、音のよさとインテリア的なデザインのよさとが両立できないことはままある。これは、スピーカーの設計的な自由度が低いこと、要するに原始的といえるメカニズムながらも完成度が高いという類稀な特性から来ている証拠でもある(クルマのワイパーなどもそう)のだが、結果としてスタイルと音質は、どちらかが優先されるとどちらかが犠牲になるという、定説のようなものがある。
英Bowers & Wilkins(以下B&W)製スピーカーが多くの人から高い評判を得ているのは、こういった定説をブレークスルーしてくれる存在だからであろう。明らかに音質を最優先している造りなのに、デザインセンスが良く、平たくいえばカッコいいのだ。ウェスタン・エレクトリックから始まる業務用を起源とした音質至上主義とは異なる、コンシューマー向けとしては理想的な存在であろう。
そんなB&Wが手がけると、iPodドックスピーカーですらひと味もふた味も違ってくるから面白い。その証拠に、今回紹介するZeppelin Airは、まずその外観からしてユニークだ。モートン・ウォレン氏が手がけたという、名前の由来ともなっている飛行船「ツェッペリン号」のような紡錘形(正確にはラグビーボールのように両端が尖った)デザインは、これがiPodドックスピーカーであることばかりか、オーディオ機器であることすら分からない個性的なスタイルだ。しかもブラックを基調にアクセントとしてところどころメッキパーツを使用するセンスなど、B&Wならではのデザインアイデンティティーを感じるし、同時に高級感の演出としても並々ならぬものがある。高級オーディオメーカーならではの巧みさといったところだろう。
また機能的に見ても、Zeppelin Airは単なるiPodドックスピーカーと呼ぶことに思わず抵抗を感じてしまうような、充実した内容を誇っている。まず本来の機能であるドックステーションとしては、iPodやiPhone(メーカーとしては対応をうたっていないがiPadなどにも)に対応しているうえ、音声接続にデジタル信号をチョイス、iPodの「手軽なぶん、そこそこの音質」というイメージを覆すハイクオリティーなサウンドを実現している。
さらにZeppelin Air最大の注目ポイントとなっているのが、アップルのAirPlay対応製品だということだ。有線LAN、または内蔵されている無線LAN経由で、iPhoneやiPad、さらにiTunesをインストールしたPCやMac内の楽曲が手軽に再生できるので、とても便利。さらにZeppelin Airには、映像出力端子も用意されており、こちらをディスプレイに接続することで、AVシステムとしても活用することができる。
加えてZeppelin Airには、USB端子も用意されており、iPod/iPhoneの充電だけでなく、PCとのデータ同期を行えるドックステーションとしても機能する。さらに、このUSB端子はPCを接続することで、Zeppelin AirそのものがUSBオーディオデバイスに早変わりするという付加機能まで持ち合わせていた。オマケにもう1ついえば、外部入力端子も用意されていて、こちらはアナログ入力だけでなく、光デジタル入力にも対応。最高96kHz/24bitステレオの高音質サウンドまで楽しむことができる。この充実した内容を知れば、筆者が「iPodドックスピーカーと呼ぶことに抵抗を感じる」という発言も理解してもらえることと思う。
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