日立製作所ブースの片隅に、異様なほど人口密度の高い場所がある。同社が開発した「実空間に立体映像を重ねて表示する立体映像表示技術」の参考展示だ。
この技術は、昨年のCEATEC JAPANで展示された裸眼立体視技術“フルパララックス3Dディスプレイ”を応用したもの。24台ものプロジェクターを使って立体の映像情報を作り、複数枚のレンズでハーフミラーに投影。その鏡像が写る場所に何か物体を置くと、まるで物体の中に立体物があるようにみえるという。広告・デザイン業界からの「立体映像を使って人々の関心を引く魅力的なコンテンツを作成したい」という声に応えるために開発したという。
実際のデモを見ると、確かに関心を引きそうだ。ポイントは、まるで物体の表面が透け、その中に立体映像で描かれたものがあるように見えること。卵形のオブジェにヒヨコの立体映像を投影すると、卵の殻が透けて中にヒヨコがいるような印象だ。水平60度、垂直30度の視野で閲覧が可能になっているため、複数の人が同時に見ることもできる。
さらにユニークなのは、卵を回すとヒヨコも回転して見える点。実はオブジェの底面にICチップがあり、その位置を計測するセンサーと連動。立体映像の位置と角度を自動的に調整するという。
展示では、鞄の中に拳銃が透けて見えるという、まるで空港のX線検査を思わせるような3D映像にくわえ、3D CGで描かれた初音ミクがグラスの中にいるといったネタ映像も。写真ではちょっと分かりにくいが、手にはしっかり長ネギを持ち、口を大きく開けた初音ミクの姿はなんとか確認できた。もちろんカップを半回転させると後ろ姿になる。
「クリプトンさんの協力で展示しました。展示用の低解像度プロトタイプを持ち込んだので鮮明ではないうえ、ハーフミラーがあるので写真を撮影するのはさらに大変。朝から何人も挑戦していますが、あまりきれいには撮影できていないようです」(説明員)。
とりあえず、一部の人々の関心を引くことには成功した模様。
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