シリコンイメージは10月5日、幕張メッセ近くのホテルでプレスカンファレンスを催し、HDMI、MHL、WirelessHDの最新技術動向を説明した。これには、CEATEC JAPANのシャープブースに展示されたHDMI機器の次世代連携にくわえ、来年1月に量産出荷を開始する「InstaPrevue」対応のポートプロセッサーなどが含まれていた。
まずモバイル機器向けのHDMIといえる「MHL」に関しては、昨年6月にMHLコンソーシアムが発表したver.1.0仕様の製品が、いよいよ市場に登場し始めることをアナウンスした。「ver.1.0仕様を発表したところ、すでに60社以上がコンソーシアムに登録した。これはHDMIのときよりも早いペース」(竹原氏)。
すでにサムスンとHTCがスマートフォンやタブレットを販売しているほか、テレビ側も東芝が豪州向けの液晶テレビ「55WL863」に採用するなど、徐々に広がりを見せている。今回のデモンストレーションも東芝の海外モデルを利用した。
MHLは、スマートフォンなどのモバイル機器をハイビジョンテレビに接続するためのシリアル・リンク技術。HDMIに比べ、コネクターのピン数が少なくコンパクトにできることにくわえ、テレビ側からモバイル機器に対して5ボルト電源を供給できる点が特長。スマートフォンなどをプレーヤーとしてテレビに映像を表示しながら、モバイル機器を充電できるメリットがある。
スペックとしては、8ch(7.1ch)の音声付き1080p映像、画像、音楽の伝送、およびIP通信(インターネット接続)が可能。さらにHDMI CEC互換のRCPというコマンドコントロールをサポート。テレビ側のリモコンでモバイル機器を操作できる。
「HDMIの小型コネクターでは、接続すると逆に5ボルトの電源をテレビ側に供給することになり、機器の充電は行えない。micro USBでは5ボルトの電源をテレビから供給してもらうことができるが、HD映像の伝送や機器コントロールが行えない」(竹原氏)。
WirelessHDについては、2012年の年初には出荷が始まるという第3世代チップが公開された。WirelessHDは、60GHz帯を使用するワイヤレスの非圧縮映像伝送技術。10Gbps以上のデータ転送速度を持ち、3Dや4K×2Kといった大容量データも約10メートルの範囲でワイヤレス伝送できる。昨年10月にve.1.1仕様がリリースされ、エプソンが先日発表したフロントプロジェクターやデルのノートPCなど、徐々に採用が進んでいる段階だ。
第3世代チップは、従来の半分近くとコンパクト。また消費電力を2.5ワットまで引き下げ、タブレット端末にも導入できるという。「最近はタブレットでゲームをする人も増えているが、テレビに表示するために従来のワイヤレス技術を使用すると遅延が起こる。WirelessHDの場合、レイテンシは1〜2ミリ秒とゲームユースにも適している」。また第3世代チップはコスト面でも半分程度になると話しており、WirelessHD機器の普及を加速しそうだ。
HDMI関連では、2つの新技術を披露した。1つはCEATEC JAPANのシャープブースに展示されていた「入力切替なしでBDの内容が分かる次世代機器連携」だ。既報の通り、この技術はHDMI ver.1.4に含まれるHEC(HDMI Ethernet Channel)を利用してコンテンツのプレビュー画像などをIP伝送、テレビ側の入力を切り替える前にディスクの中身が分かるというもので、シャープとシリコンイメージが共同開発している。
同社によると、実は画像データだけではなく、CEC信号もIP伝送しているという。「CECの信号もIP伝送するリンク・コミュニケーション・プロトコルなど、従来のコントロール・インタフェースを拡張したもの。HECの新しいユーセージモデルであり、将来的にはスタンダードにしていきたい」と話している。
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