いまやヘッドフォン好き、デジタルオーディオプレーヤー好きにとっては恒例のイベントとなっている「ヘッドフォン祭」。フジヤエービックの主催で、毎年春と秋に開催されているイベントだが、先日、10月29日に行われた「秋のヘッドフォン祭2011」では、同じ会場(スタジアムプレイス青山)ながらもスペースを大幅に拡大し、今まで以上に多くのメーカーが出展。さらに充実した展示内容となった。
その会場の充実ぶりには、驚くほどだ。各社とも、初披露の新製品や発売予定の製品が多数並び、会期の29日だけで全体を把握するのはかなりタイヘン。しかもそれらの大半が、実際に試聴できるのだ。ヘッドフォン好きにとっては、ますますたまらないイベントになってきたといえる。
そんなヘッドフォン祭で披露された数多ある新製品のなかから、実際に試聴できた注目製品のファーストインプレッションをお届けしよう。
ファイナルオーディオデザインからは、11月に登場予定となっている、新開発の8ミリ径ダイナミック型ドライバーを搭載した3モデルがアピールされていた。価格帯としては、下から約4000円、約6000円、約1万3000円というから、「piano forte II」の上位モデルに位置する存在となるようだ。会場では、そのうち2モデルのサウンドを確認させてもらった。
まず約6000円予定のミドルモデル(仮にそう呼ばせてもらう)は、小口径のメリットを生かした、元気でスピーディーなサウンド。とはいえ、中域の実体感や重奏感はさすがファイナルオーディオデザインといった仕上がりで、サウンド傾向にぶれがない。
一方、予価が約1万3000円のハイモデル(同様にこちらも仮呼称)は、ダイナミック型ドライバーの基本形はそのままに、筐体(きょうたい)デザインを変更、素材も金属を採用している。小口径ダイナミック型ドライバーの実力を充分引き出しているのは、やはりこちらだろう。ミドルモデルでわずかながらも気になった高域の雑味が上手く抑えられ、伸びやかなサウンドとなっている。それでいて中域の聴き応えはあい変わらずなのだからうれしい限り。(ミドルに対して)倍の金額を出すに値する価値は充分に感じられた。
イーフロンティアのブースでは、Android端末向けのカナル型イヤフォン「S4A」などが紹介されていたが、個人的な注目は11月発売予定のノイズキャンセリングヘッドフォン「MODE」だ。
何よりも素晴らしいのは、音質的なクオリティーが高いこと。解像度感が高く、丁寧かつ帯域バランスに優れたサウンドは、これがノイズキャンセリングであることをついつい忘れてしまう。ダークブラウンのカラーリングといい、購買意欲をそそる高級モデルだ。
USB DACとしていまや定番、リファレンスといえる存在となっているAUDIOTRAKのDR.DAC2だが、会場では新たな「トップエディション」が初披露されていた。なんとこちらには、先日発表されたばかりの新日本無線製オペアンプ「MUSES8920」を搭載。さらなる高音質化を狙ったスペシャルモデルとなっている。500台のみの限定生産で発売は11月下旬、価格は3万9800円を予定しているとのこと。
そのサウンドは、一聴して驚いた。もともと丁寧で素性のよい音を聴かせてくれた「DR.DAC2」だが、解像度感の高さ、そして音のリアルさがまるで別物のよう。「MUSES8920」のクオリティーもさることながら、「DR.DAC2」がここまでの潜在能力を秘めていたことにも感心した。そのうち、じっくりと聴き込む機会を作りたい。
ムジカアコースティックのブースでは、ロシアFISCHER AUDIOのハンドメイドヘッドフォン「MASTER SERIES」が並べられていた。なかでも木製の密閉型フランジを採用する上級モデルがユニークで、木材の種類に様々なバリエーションが用意されている。いくつか試聴させてもらったが、木の種類や内側の加工の微妙な差でかなり音色傾向が変わってくるのが大変興味深かった。正式な国内販売決定のリリースが待ち遠しいブランドだ。
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