以前、本連載でも採り上げたヤマハのネットワークオーディオプレーヤー「NP-S2000」がVer.2.00となり、サンプリング周波数176.4k/192kHzのハイレゾリューション・デジタルファイル(以下、ハイレゾファイル)への対応を果たした(非圧縮のWAV形式)。これまでNP-S2000は96kHzまでのデジタルファイルしか再生できなかったわけで、176.4kHz/192kHzのハイレゾファイルに聴きたい音源がたくさんある自分にとって、このファームウェアのバージョンアップはじつに興味深いものだ。
なんてことを本欄の担当者と話していたら、なんとNP-S2000 Ver.2.00を拝借できることに。11月初頭にテスト機がわが家に届き、10日間ほどリスニングルームで本機を使ってみたので、ここではその使用リポートを書いてみようと思う。
ガラス棚のクワドラスパイア製ラックの最上段にNP-S2000を置き、最近テストしてみてその音のよさに感心したエイム電子のLANケーブル「NA3-R010」を用いて本機をハブにつなぎ、NAS(ネットワークにつながるストレージ)に収めた愛聴デジタルファイルを種々楽しんだわけだが、リスニングルームのオーディオラックに配置してみて、まず本機のデザインの美しさ、たたずまいのよさに改めて感心した。
幅435ミリのフルコンポ・サイズながら縦寸法が約50ミリ(本体)ときわめて薄く、そのプロポーションはじつにスタイリッシュ。アルミのフロントパネルの中央にディスプレイ、左に電源スイッチ、右に操作ノブと2つのボタンが配置され、両サイドに白木(ナチュラルバーチ)のウッドパネルをあしらったそのレイアウトのセンスはみごとの一言。GKデザインとのコラボレーションで1970〜80年代に一世を風靡(ふうび)したヤマハ高級オーディオの雰囲気を思い起こさせる素敵なフィニッシュだ。本機を置いたラックの下棚には、3年前から愛用している英LINNのネットワークプレーヤーの最高峰モデル「KLIMAX DS/K」を置いているが、見栄えはまったく劣らない。
安っぽいガジェット感覚のAV機器がはんらんしている昨今だけに、この品格の高い本機のたたずまいのよさは、じつに清新だ。趣味のオーディオ機器は、音だけではなく部屋に置いたときのルックスが重要と筆者は考えるが、本機NP-S2000は高いレベルでその欲求を満たしていると思う。
改めて本機の概要を説明しておこう。LINNのDSプレーヤーと同じく入力はLAN(イーサネット)のみ。DLNAに準拠したPCやNASとネットワーク接続し、そこに収められた音楽ファイルを読み出すドライブレスプレーヤーである(インターネットラジオを快適に聴取できるvTUNERもサポートしている)。バランス(XLR)、シングルエンド(RCA)各1系統のアナログ出力のほか、同軸と光(トスリンク)各1系統のデジタル出力が用意されているが、出力できるのはサンプリング周波数96kHzまでのデジタルファイルだ。
DACチップは24ビット・タイプのバーブラウン「PCM1792A」で、それを左右それぞれに1基与えた差動方式が採られ、アナログ音声回路は全段完全バランス伝送となっている。内部をのぞくと、中央手前にEIコアタイプが、後方にトロイダルコアタイプが配置されたツイントランス構成。林立するローカルレギュレーターの設計を含め、充実の電源回路が注意深く構成されていることが分かる。
対応デジタルファイルは、非圧縮のWAV、可逆圧縮(ロスレス)のFLACの他、MP3、WMA、AACの非可逆圧縮(ロッシー)フォーマットを含めた5つ。操作面ではもちろんWiFi機器に対応している。ヤマハはiPod/iPhone用の専用操作アプリ「Network Player Controller」を用意しており、AppStoreから無償ダウンロードが可能だ。
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