コンパクトなボディや、ハイレゾ音源時代にふさわしい高性能さを追求したというサウンドクオリティなど、ニアフィールドでの使い勝手を想定したつくりこみがなされた、パイオニアの新しいブックシェルフ型パッシブスピーカー「S-CN301-LR」が登場した。
本機の仕上げは、スピーカー製品のチーフエンジニアであり、同社の高級スピーカー「EXシリーズ」の開発者でもあるアンドリュー・ジョーンズ氏が携わっている。
そんな“EXベビー”とも呼べる存在の本機、そのデザインは確かにEXシリーズに共通するアイデンティティが垣間見える。まず、20ミリ厚のフロントバッフルはつや消しブラック、そこに木目調のエンクロージャ(スピーカーのボディ)を組み合わせた部分など、カラーコーディネイトの方向性が同じだ。もちろんエンクロージャはEXシリーズのような曲面構成のものではなく、オーソドックスな箱型なのだが、フロントバッフルの左右を微妙に絞り込んだり、スピーカーユニットの取り付け部に微妙なアールを施すなど、やはりパッと見で受ける印象はかなり似通うものである。エンクロージャは天然木を規則的に貼り合わせて木目柄にするという新たな製法を採用し、リアルウッドならではの優れた音響特性を備えるとともに、廃材の大幅削減にも貢献しているという。
スピーカーユニットは、ツイーター+ウーファーの2ウェイシステムで、ツイーターが20ミリ口径のソフトドーム、ウーファーが100ミリ口径のグラスファイバー振動板を採用する。ウーファーは、ロングストローク設計とすることで小口径ながらも豊かな低域再生を実現し、リアルウッドのエンクロージャやバスレフ構造と相まって、45Hz〜40kHzという幅広い再生周波数帯域を実現する。
135(幅)×230(高さ)×220(奥行き)ミリというボディサイズは、PC用としては小型と言えないものの、机上での収まりは悪くない。逆に、落ち着いた色調の上質感が漂うデザインと相まって、PC用のよくあるアクティブ(アンプ内蔵型)スピーカーとはまったく別次元の本格派オーディオを設置したような感覚が得られる。この程よい存在感はかなり好印象だ。ノートPCや液晶ディスプレイの左右に置いても意外にしっくりくる。
裏面に直出しで固定されたスピーカーターミナルは、金メッキを施した真ちゅう製。かなりしっかり/ガッチリ取り付けられるのは印象がよい。また+/−の端子間隔も余裕があるので、“設置してから手探り配線”もそこそこ容易に行える。コンパクトなボディなのでそうそうアクロバティックな作業をする必要はないだろうが、基本的に作業性がよいのはうれしい。
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