毎年、ドイツ・ベルリンで開催される世界最大級の家電見本市「IFA」には、その年の年末に発売される製品が並べられる。そのIFAが、その年の家電トレンドについて発表と意見交換を行う場が「IFA Global Press Conference」(IFA GPC)である。IFAを主宰するベルリンメッセと協力関係にある市場調査会社GfKとともに、前年の市場分析とその年の見通しについてのプレゼンテーションが行われた。
今年のテーマ(いや、今年だけでなくここ数年、ずっと取り組んできたテーマといえるだろう)は、デジタル機器のスマート化と新興市場の開拓だった。とくにIFAのお膝元である欧州では、いくつかの国が経済危機に陥り、IFAのスポンサーとなっている企業が多い日本の電機メーカーも深刻な経営不振に陥っている。
しかしメッセベルリンでIFA専務理事を務めるイエンズ・ハイテッカー氏は、日本企業の不調について質問されると、「確かに日本の電機メーカーは難しい環境にある。深刻な円高でバランスシートが傷んでいるが、しかし良い製品を毎年、きちんと開発してきている」と話した。同氏によると、今年8月31日から開催される「IFA 2012」では、全体の参加社数で過去最多だった1441社を超えるのはもちろん、日本のメーカーも昨年から増える見込みだという。
それどころか、パナソニックは過去最大のブースをIFAに構える予定だ。「パナソニックに限らず、日本の企業は家庭内にあるさまざまな電化製品を総合的に手がけている。これからあらゆる家電がクラウドと接続されていくだろう。その中で、家の中すべてがクラウドを中心に連動する時、日本企業の果たす役割は大きい」(ハイテッカー氏)。
”テレビ市場の成長”とともに大きくなってきた近年のIFAにしてみれば、成長のエンジンだったテレビ市場に代わる、新しい要素を展示会に取り込んで行かねばならない。ただし足下のテレビ市場に関しても強気の予想をしている。
GfKによると、今年は先進国で軒並みテレビの売上が落ち込む予想となっているものの(ただし、日本は特別。アナログ停波やエコポイントといった人為的なものの影響であり、過去の実績から平均化して考えるべきだと付け加えている)、新興国での伸びが補い、5%程度は出荷数が伸びると見ているようだ。
またスマートテレビと3Dテレビという2つの商品が、大きな伸びを示すとも予想していた。スマートテレビへの注目度の高さは、年初の「Interntional CES」でも明らかだったが、3Dテレビが好まれる傾向が強い理由としてはスポーツ放送の充実があるという。サッカーをはじめ、大きなスポーツイベントが3Dで放送されるようになり、映画ファン以外にも訴求しているとハイテッカー氏。西欧主要国だけでなく、中国、韓国などでも3D専門チャンネルがある。
余談になるが、今年のロンドンオリンピックはBBCが3D撮影を行うが、この映像がライブ配信されない主要国は日本だけだ。欧州はもちろん、アジア各国、中東、アフリカ、中南米を含め、かなり多くの国が、この立体映像の配信を受ける。
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