シャープが6月上旬に発売するロボット家電「COCOROBO」(ココロボ)。その第1弾が、円盤形のロボット掃除機「RX-V100」だ。自律的に室内を動き回り、床を掃除するという点は海外メーカー製品と変わらないが、「日本メーカーならでは」(同社)の吸引力に加え、スマートフォン連携やボイスコミュニケーションなど、コダワリと“遊び心”が詰まったロボット掃除機だ。
ロボット掃除機が日本市場に登場しておよそ5年。忙しい生活の中で「時間を有効に使いたい」というユーザー層に受け入れられ、2011年には20万台前後が売れたという。年間500万台の掃除機市場に占める割合はまだ5%程度に過ぎないが、単価が高いため金額構成比では10%前後となる。また今後も市場は拡大する見通しで、シャープでは2012年に前年比125%の25万台と予想している。
勝手に動き回り、バッテリーがなくなると自分で充電台に戻るロボット掃除機は便利だが、一方で“吸引力”の弱さを指摘する声も多い。これは、欧米と日本の住環境の違いに起因しているという。
「土足で室内に入る海外では砂ゴミをかき集める掃除が中心だ。つまり掃除機は“ほうきとチリトリ”の役割を果たせばいい。対して靴を脱ぐ文化の日本では、繊維系の細かいホコリが目立つため、それを吸い取る力が求められる」(シャープ)。
このため、 まず小型の高性能モーターとターボファンを新規に開発。サイドブラシが集めたゴミは、底面の回転ブラシにキャッチされ、毎分約1万4000回転のターボファンでパワフルに吸引される仕組みだ。市販のロボット掃除機に比べると、吸引力は2〜5倍という。
回転ブラシは、固めのかき込みブラシと柔らかい起毛ブラシのダブル構造とし、床面を傷つけない程度に集塵力をアップ。これは、一般的なキャニスター式掃除機とほぼ同じ構造だ。またフィルターを使って排気をクリーンにする点もキャニスター式と同じ。0.3マイクロメートル以上のほこりを99.9%以上逃さない「HEPAクリーンフィルター」を搭載した。
さらにCOCOROBOは、シャープ自慢のプラズマクラスターイオン発生器も備えている。イオン発生デバイスは、空気清浄機の普及モデルクラスに使われる「プラズマクラスター7000」(最大風量時運転時に部屋の中央高さ1.2メートルで計測したイオンの数が7000個)。掃除中はもちろん、停止状態でプラズマクラスターイオンの放出だけを行う「プラズマクラスターシャワーモード」も用意して、汎用性を高めている。
掃除モードは、「自動モード」のほか、ホコリのたまりやすい壁際を集中して掃除する「壁際モード」、掃除したい箇所だけを動く「スポットモード」など5種類。冒頭で触れた音声認識機能により、「キレイにして」などと声をかけると、ダンスしながら「ワカッタ♪」と返事をして自動モードに入る。バッテリー残量が20%を切ると自動的に充電器に戻り、約4時間の充電で60分の掃除が可能だ。これは、一般的なリビングルーム(14〜16畳を想定)を掃除するのに十分な時間だという。
また既存のロボット掃除機では、バッテリー交換に手間がかかる点もたびたび指摘されている。このためCOCOROBOでは、リン酸鉄系のリチウムイオン充電池を採用することで、約1200回の充電を可能にした。従来のニッケル水素電池を使用する製品のバッテリー寿命が約1年(充電300回)なのに対し、3年程度は交換不要になる。
掃除に関するもう1つの新しい装備が、障害物を避けるために使う超音波センサーだ。これまでのロボット掃除機では主に赤外線センサーが使われているため、例えばガラスのような透明な物体や黒い壁などを検知できずにぶつかるケースが多い。対してCOCOROBOは、「イルカと同じ超音波を使った障害物回避システム」でうまく避ける。「日本のメーカーが作るからには、こうした部分まで考える」(同社)。
もちろん、超音波センサーも完ぺきではないが、衝撃を吸収するバンパーにより本体に影響はない。ちなみにCOCOROBOは、壁などにぶつかるとまれに「いてて」などと独り言をいったりもする。
室内の段差は、敷居などを越えられるように15ミリまで対応できる。一方、高い段差から落ちたりしないよう、底面には3つの落下防止センサーを備えている。
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