CATV事業者向けの専門セミナー&展示会「ケーブルテレビコンベンション2012」が東京・大手町で7月18日、19日に開催された。今回は「Smart TV BOX」を発表したKDDIが注目を集めたが、ほかにもネットワークやタブレット端末を活用する“スマート”な提案が多く見られた。ファミリー層やお年寄り世帯の多いとされるCATVにおいて、なぜタブレットが注目を集めているのだろうか。
CATVなど多チャンネルサービスの抱える悩みの1つに、選局操作の煩雑さがある。まずダイレクト選局できるボタンがリモコンにない(数字キーで3桁の番号を入れるなど)。また電子番組表にしても、地上波だけならテレビ画面に1週間分を表示できるのに対し、多チャンネル放送は何度もスクロールしなければ目的のチャンネルにたどりつかない。そうした使い勝手を解決する手段としてもタブレット端末は有望だ。
パナソニックは、自社製STBとスマートフォン/タブレット端末を連携させるAPIを提供し、サービスプロバイダーやCATV局が対応アプリを開発・利用できるようにしている(Android/iOS対応)。例えばプラットイーズが秋に提供予定の「エラベラー」は、タブレットを多機能無線リモコンに変えるというもの。画面に専門チャンネルのアイコンをずらりと並べ、フリック操作で直接選局できるほか、同社が提供する「おすすめ番組」情報や番組の詳細情報なども参照できる。展示機はAndroid版(2.2以上)だったが、iOS版も開発中。スマートフォンでも利用できるという。
また、“番組選び”の参考になりそうな提案も2つあった。1つは性別などユーザーの属性によって配信する内容を変える「番組関連情報提供サービス」。例えば釣りの番組なら、男性の端末には釣りスポットの情報を、女性の端末には近隣のホテルやお店の情報といった具合だ。同時に関連広告を表示するなど、ターゲティングによるビジネスモデルも検討していく。
もう1つは、Facebookの友達が録画予約した番組を教えてくれるソーシャル連携。例えば、おすすめ番組の一覧画面には、録画予約した人の数を掲載し、番組情報ページに行くと友達リストの中から予約済みの人のアイコンがずらりと並ぶ。「友達が多く予約した番組をチェックしておけば、翌日の話題に乗り遅れることがない。また自分と似た趣味の人が予約していれば、その番組が自分の好みにあっている可能性も高い」。
東京と神奈川を地盤とするイッツ・コミュニケーションズは、東急電鉄や近隣のケーブルテレビ局、マンションデベロッパーなどと共同で進めているマンション向け情報サービス「MIL-C(Mansion Interactive Local Cables System:ミルシー)システム」の新展開として、地域情報や生活支援アプリを搭載した専用端末「ミルシータブレットプロジェクト」を紹介した。
MIL-Cは、マンションの各世帯に双方向STBや緊急地震速報対応インターフォンなどを設置し、多チャンネル放送やブロードバンド環境と同時に住民専用の情報サービスを提供する。STBの画面では、マンションの共有施設を利用する際に予約状況が確認できたり、近隣のスーパーや商店が発信する“お得情報”、交通機関やイベント情報といった生活に役立つ情報を手軽に入手できるというもので、2010年5月に大規模マンション「二子玉川ライズ」に全面導入され、その後も東急沿線の新築マンションを中心に導入と運用が進んでいる。
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