シュア・ジャパンは10月23日、密閉型ヘッドフォンの新しいフラグシップモデル「SRH1540」を発表した。スタジオユースからコンシューマーまで幅広い利用シーンを想定したプレミアムモデルだ。12月下旬に発売する予定で、価格はオープン。店頭では5万円前後になる見込みだ。
SRH1540はシュアお得意の密閉型だが、振動板からハウジングのキャップ、イヤーパッドなど、各所に新しい素材を積極的に採用して音質と使用感の両面にアプローチした。
来日した米Shureのプロダクト・マネジャー、Michael Johns氏によると、中でも注目は、振動板に初めて採用した“PEEK”(Poly Ether Ether Ketone:ポリエーテルエーテルケトン)樹脂。PEEKは、従来のPC/ABSやPP(ポリプロピレン)に比べて耐久性に優れ、曲げや折れにも強いという。また汗などが付着しても性能に影響が出にくい“耐薬品性”、温度や湿度の変化に性能が左右されにくい“環境耐性”も併せ持つ。
「この素材を6マイクロメートルほどの薄さに加工する技術を持つ企業があり、ダイヤフラム(振動板)に使うことができるようになった。振動板は、薄くすることで良好なレスポンスと正確な音の再生が可能になる」(Johns氏)。同社ではフィルム状にしたPEEKを「APTIV(アプティブ)フィルム」と呼ぶ。
イヤーパッドには、人工皮革のAlcantara(アルカンターラ)を採用した。もともとスペインのアルカンターラと日本の東レが、ランボルギーニなどイタリア製高級車のシートに使うために共同開発したもので、形状復元性に優れ、快適な装着感と遮音性も兼ね備えている。耳をすっぽりと包むサーカムオーラル式(アラウンドイヤー型)のイヤーパッドは、「ゆっくりと柔らかく耳にフィットし、ゴシゴシと水洗いしても大丈夫なくらい丈夫だ」(同氏)。
ヘッドバンドは、プロテインを配合して質感を向上した合皮「プロテインレザー」製。またヨーク部分には「SRH1840」と同様、航空機にも使われるほど剛性の高い「6061-T6」アルミ素材を使用している。ただし、表面処理をアルマイト加工に変更して、よりシルバーに近い色に仕上げたほか、バネ機構付きのアジャスターを導入して使い勝手を向上させた。
外観の印象を決めるハウジングのキャップ部分は、UVコーティングを施したカーボンファイバーだ。Johns氏は、「見た目の良さに加え、弾性のある素材がヘッドフォンの“鳴り”を抑えてくれる」と解説。このキャップは、クロームメッキリングでアウターキャップアッセンブリに固定されるが、このパーツも蜘蛛の巣のような形状として効率よく“鳴り”を抑えるという。
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