耳の肥えた3人のレビュアーが注目のヘッドフォンを価格帯別に評価するバイヤーズガイド。前回までのインナーイヤー型に続き、今回からオーバーヘッドタイプを取り上げていこう。
その前に恒例「野村ケンジの一言アドバイスコーナー」。今回からしばらく、いまさら他人には聞けないヘッドフォンの基本について解説してもらおう。
――今回のテーマは、ヘッドフォン関連の記事でよく目にする「アラウンドイヤー型」という用語です。
野村氏: 「アラウンドイヤー型」というのは、ヘッドフォンの耳に接する部分「イヤーパッド」の形状を表す用語です。名称の通り、耳のまわりをぐるりと囲むタイプで、外の音が入りにくいという特長があります。ヘッドフォンでは標準的なスタイルですね。
そのメリットは、「音に集中できること」。外界の音をシャットアウトして音楽を聴く環境を整えてくれます。ドライバーの実力も発揮しやすく、長時間の装着でも圧迫感が少ないので快適です。
――デメリットは?
野村氏: どうしてもヘッドフォンのサイズが大きくなってしまうことでしょう。一方で「オンイヤー型」とい……
――次回は「オンイヤー型」を取り上げます。
そんな話好きな野村氏を含む今回のレビュアーは以下の3人だ。
3人が試聴したのは以下の4製品。実売価格は4月4日時点のAmazon販売価格(税込)を参照したが、今回は消費増税の影響か、あるいは売れすぎて価格変動があったのか、企画時より少しだけ値上がりして1万円を超えた機種があった。しかし、上のクラスに編入すると、このクラスが3機種と寂しくなってしまうので、予定通り掲載させていただく。ここは「ヤマハ『HPH-M82』は値上がりするほど人気らしい」と前向きに捉えていただけると幸いだ。
メーカー | 製品名 | 再生周波数帯域 | インピーダンス | 感度 | 実売価格 |
---|---|---|---|---|---|
オーディオテクニカ | ATH-WS55X | 10〜2万4000Hz | 48オーム | 100dB | 5890円 |
AKG | K404 | 15〜2万3000Hz | 32オーム | 110dB | 3572円 |
パイオニア | SE-MJ751 | 8〜2万8000Hz | 16オーム | 104dB | 4472円 |
ヤマハ | HPH-M82 | 20〜2万Hz | 46オーム | 105dB | 1万60円 |
オーディオテクニカ「SOLID BASS」(ソリッドベース)のエントリーモデルにあたる密閉型ヘッドフォン。先代「ATH-W55」より大きな53ミリ径ドライバーを搭載し、お得意の「エクストラチャンバーメカニズム」もリニューアル。空気のバネ性を最大限に高め、ダンピングの効いた伸びのある重低音を再生するという。
ヘッドバンドは、位置を選ばない無段階調整タイプ。左右のハウジングを90度回転させて平たく折りたためるため、鞄の中に入れてもあまり場所をとらない。ケーブルの長さはポータブルに適した1.2メートルだ。
いい意味で値段通りのサウンド。低域にフォーカス感があり、重低音も出ている。エントリーモデルのなかでは比較的良質なサウンドだと思う。今まで2000円〜3000円くらいのヘッドフォンを使っていた人の次なるステップとして価値ありです。
スイーベル機構を採用しているので、女性でも持ち歩きやすいけど、もっとコンパクトに折り畳めたらより好印象だったかも。高音域が出ているように感じられたが、4つ打ちのビートがとても似合う。打ち込みのサウンドもメリハリが利いていた。
低音寄りのサウンドバランスで、ズンズンと頭に響く「SOLID BASS」の音。装着感はやや固めな印象ながら、どの位置でも調整できるヘッドバンドは快適だ。全体的にプラスチック感はやや気になるものの、この価格帯であれば許容範囲か。
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