ITmedia NEWS >

「映像、サウンド、デザインを新しく」――三菱初の4Kテレビ“REAL”「LS1シリーズ」が登場BT.2020を80%カバー(1/2 ページ)

» 2014年08月25日 14時35分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 三菱電機は8月25日、同社初となる4K対応液晶テレビ“REAL”「LS1シリーズ」2機種を発表した。赤色レーザー光源を採用したバックライトやDIATONEスピーカーなど、「映像、サウンド、デザインを“1”から新しくした」という意欲作だ。価格はオープンプライスで、店頭では65V型「LCD-65LS1」が70万円前後、58V型の「LCD-58LS1」が50万円前後になる見込み。いずれも10月30日から販売を開始する。

“REAL”「LS1シリーズ」

 発表会であいさつに立った同社家電映像事業部の菊池康男事業部長は、第三者機関の調査結果を基に、「4Kテレビの購入者は、テレビ全体の購入者よりも画質、音質、デザインを重視する傾向にある」と指摘。「われわれが持つ独自技術を活かした4Kテレビは、それぞれを高いレベルで再現する」と胸を張った。

菊池康男事業部長(左)と第三者機関によるユーザー調査結果(右)

 まず“映像”では、同社お得意の赤色レーザーと新開発のシアン色LEDを組み合わせた直下型バックライトを採用した。今回のシアン色LEDは赤色成分を完全に除去したというもので、より純度の高い青と緑の波長が利用できる。これにより、RGBの波長が混ざらず、彩度の高い映像が実現するという。さらに高品位のRGBカラーフィルターを組み合わせ、ITU-Rが策定したUltra HD(4K/8K)の色域規格「BT.2020」を80%以上カバーした。

赤色レーザーと新開発のシアン色LEDを組み合わせた直下型バックライトを採用

白色LEDバックライトとの比較デモ

 テレビ開発を担当する同社京都製作所の能勢純一所長は、「将来の4K放送は解像度が4倍になるだけではなく、色域が従来のBT.709に対して約170%に広がる予定になっている。しかし、従来の白色バックライトでは到底実現できない」と指摘する。「LS1シリーズは、レーザー光源によって赤はBT.2020を完全にカバー。緑と青も80%に達している。これに12軸で色を演算処理する『LASER COLOR CONTROL 12』と超解像エンジン『DIAMOND HD』を合わせ、解像度が高く自然な質感の映像を再現する」(同氏)。なお、LS1シリーズはローカルディミングも行っているが、分割数などの詳細は未公開だ。

 このほか、倍速パネルにバックライトスキャンを組み合わせて4倍速相当の動画再現性を実現する「DIAMOND SCAN 240」、映像の暗い部分で抑制した電力を明るい部分に回し、ピーク輝度を上げる「輝きダイナミックレンジ」なども搭載した。表面処理は光沢コートとなっている。

独立キャビネットの本格的なDIATONEスピーカー

 “サウンド”は、DIATONEが持つ新旧の資産を活かした。LS1シリーズのスピーカーは、本体から分離されたアルミ製の円筒形キャビネットを画面の左右に配置するスタイル。NCV(ナノカーボン)振動板のツィーター2基とウーファーをマルチアンプ方式で駆動する。NCVは、チタン並みの伝搬速度と紙製振動板と同等の適度な内部損失を実現した、近年のDIATONEを代表する素材だ。そしてチューニングを担当したのは、1990年代にDIATONEのスピーカーを手がけていたエンジニアだという。

サランネットを外したところ(左)。2つめのツィーターは最上部を斜め上に向け、横方向だけでなく縦方向にも広がる立体的な音を実現した。内蔵アンプ総合出力は58ワット

 ウーファーには、約1万ガウスという強力なボイスコイルを採用。さらに共振周波数をずらしたパッシブラジエーターを左右に2基ずつ搭載し、「重低音から人の可聴域を超える高音まで再現する」(能勢氏)。この音を活かし、スマートフォンなどからBluetooth経由でワイヤレス楽曲再生も可能になっている。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.