ダイキン工業が発表した住宅用マルチエアコンの壁掛型室内機「UXシリーズ」は、滑らかな曲線を描く美しいエアコンだ。しかも、一見して分かるように、今までの製品よりも明らかに“薄い”。ダイキンヨーロッパと共同でUXシリーズをデザインしたプロダクトデザインチーム「yellow design gmbh」(イエローデザイン)を率いるAlexander Schlag(アレキサンダー・シュラッグ)氏に、詳しい話を聞いた。
そもそもエアコンという家電は、設置場所による制約でおおよそのサイズが決まってしまい、差別化の難しい製品だ。シュラッグ氏も「エアコンのデザインはすごく難しい」と話す。「UXシリーズにおける一番の挑戦は、技術的に必要な高さを維持しながら、いかに存在感をなくすために薄く見せられるかでした」
UXシリーズの特徴の1つが、3次曲線を使った「ウェーブデザイン」だ。前面パネルをラウンド(曲面)させ、左右両端を厚さ129mmに抑えることで壁との一体感を演出している。
「この曲面は、エアコンが止まっている時に美しさを表現します。電源を入れると、まず上部のパネルが持ち上がり、下部のパネルが上方向に移動して上部パネルの裏側に入り込みます。するとフラップ部分が現れます」。非常に複雑な動きをすべて同時に行うが、動きにぎこちなさは見られない。すーっと動き、最後にすべてがゆっくりと閉じる様は、高級オーディオ機器の動き方や高級車の扉のしまり方に通じるものがある。
「エアコンをオフにすると逆の動きでピタリと閉まります。この動きを実現することが実は非常に難しく、生産技術や成型、設計の力などを結集させる必要がありました。稼働中も送風口以外は閉じています。それは美しさを維持するのに重要であり、同時にモーターの音が聞こえにくいという静粛性にもつながっています。難しい課題、高いハードルを技術者と一緒になって1つ1つ乗り越えたことが、他社製品と一線を画すことにつながったと考えています。ダイキンの最新技術とデザインが融合したからこそ、ウェーブデザインは実現できたのです」
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