新iPod nanoを試す(音楽再生、+α編):レビュー(2/2 ページ)
新iPod nanoの音楽再生機能そのものにさほどの変更は行われていないが、FMラジオや歩数計などの機能が追加された。後編ではそれらに注目する。
新たに搭載された機能のひとつがFMラジオ。メニューから「ラジオ」を選択するだけで起動するが、受信にはアンテナがわりのイヤフォンが必要となっている。イヤフォンは付属品である必要はなく、ある程度(30センチ程度でも電波状態のよい場所なら受信を確認できた)の長さがあれば受信するようだ。そしてユニークな機能として用意されているのが録音機能「ライブポーズ」。
ライブポーズはセンターボタンをワンプッシュするだけで行われ、最長15分を録音する。クリックホイールを左へ回すと15分をさかのぼれるので、デジタルレコーダーで言うところの、追っかけ再生的な利用が可能となっている。録音は一時的なキャッシュ扱いとなり、15分録音すると以前の内容は上書きされるほか、録音中に他局を選局するとそれまでの録音は失われる。
そのほかボイスメモと歩数計が追加されている。前者は機能を呼び出してセンターボタンを押すと録音開始というシンプルなもの。センターボタンでチャプタの挿入が行え、録音された内容は本体で再生/削除するほか、シンク時にはプレイリストに「ボイスメモ」としてiTunesに表示される。録音形式は128kbpsのAACだ(拡張子は.M4A)。
歩数計は内蔵している加速度センサーを利用したもので、歩数表示のほか体重を入力しておくと概算ながら消費カロリーも表示され、カレンダー形式で歩数と消費カロリーも確認できる。歩幅の入力が行えないので歩行距離の表示は行えないが、1日の歩数を視覚化できるだけでも健康への意識を喚起させられる。そのほか、NikeのスポーツシューズとiPodを連動させるワイヤレスシステム「Nike+iPod Sport Kit」にも対応している。
ビデオ機能をチェックした前編、音楽再生と新搭載の機能をチェックした後編と2回に分けて新iPod nanoを見てみた。既存モデルとの比較では外観上の変更があまり見られず、そうした意味ではインパクトに欠けることは否めないが、それだけ既存モデルの完成度が高かったといえるのだろう。
新搭載された機能はいずれも「ミュージックプレーヤー」にほぼ無関係であるが、ビデオカメラもFMラジオも歩数計も、携帯機器へのプラスワンとしては十分な魅力を持っている。ただ、Windows環境での録画ファイルの扱いについてだけは、「iPod」という言葉から連想されるスマートさに欠け、残念だ。iTunesあるいはiPodソフトウェアの更新で解決できる問題なのかは分からないが、なんらかの改良を期待したい。
それでも、洗練の操作インタフェースをより快適に利用できる大画面・高精細液晶の搭載や、カメラ搭載など高機能化を進めながら従来通りのスリムさを保ったこと、1万4800円(8Gバイト版)/1万7800円(16Gバイト)という価格設定など、死角のないポータブルデジタルオーディオプレーヤーであることも確か。同ジャンル製品では、現時点でのベストチョイスといっていいだろう。
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