本田雅一のTV Style
「スマートテレビ」の論点をもう一度整理してみよう
本連載が掲載されているITmedia Lifestyleで、「ITmedia スマートテレビ研究所 第一回シンポジウム」というイベントが開催される。このイベントはシャープの協賛によるものだが、既存の製品を評価するよりも、将来の製品がどうあるべきなのかを本気で考えようという前向きなイベント、と説明を受けている。
さて、どんな話になるか。わたし自身も出演者の1人として、とても楽しみにしているが、ここでいま一度、スマートテレビに関する論点を整理しておきたい。
スマートテレビに関しては過去に2回、記事を掲載しているので、主張は重なる部分もあるが、全体をふかんした上で、いま一度、スマートテレビというカテゴリーに関する認識について、大まかな意識の共有をしておきたいと思うからだ。
自問自答の質疑応答形式で進めよう。
問1. スマートテレビとはどんなジャンルなの?
実は”スマートテレビが何か?”について、明確な定義は実はない。無責任? いや、おそらくメーカーも分かっていない。今となっては誰が言い始めたのかも分からない。メーカーごとにスマートテレビに対する取り組み方も違う。なにしろ定義がないから、どんな機能が必要なのかも模索している段階だ。
大まかな認識としては、インターネットで提供されているサービスに対応、追従していける柔軟性を持ったテレビということだけだ。
問2. アクトビラやYouTubeにアクセスする機能があればスマートテレビ?
インターネットを通じた動画サービスが利用できるテレビは、もう何年も前からある。「YouTube」へのアクセス機能について言及があったのは2008年1月にパナソニックが最初だと思うが、単にインターネット経由で動画配信するだけならば、それ以前からテレビ内蔵、単体のセットトップボックスともにあった。
したがって単にネット上にある動画が再生できるだけでは、スマートテレビとはいわないと考えるのが妥当だろう。これはDLNAなど、家庭内LANの中で動画や写真、音楽を共有する機能についても同じだ。
問3. インターネットサービスにアクセスするアプリケーションをインストールできるのがスマートテレビ?
そう考えているメーカーもある。ただ、どんなサービスを使えるようにするのかは、本当にまちまち。例えば、1月にラスベガスで開催された「2011 International CES」では、スマートフォンのように情報サービスへアクセスするアプリケーションが動くテレビについて韓国のサムスンが説明した。開発開発キットについても説明があり、アプリケーションの開発コンテストが開かれるとのアナウンスもされている。
ただアプリケーションといっても、色々ある。例えば「Twitter」にアクセスできればいいのか? といえば、単純にTwitterクライアントだけがあっても、あまり意味はないだろう。個人にまつわる情報は、もっと個人的なデバイスの方が扱いやすいからだ。スマートフォンやスマートタブレットの方が、SNSや電子メールなどのアクセスには向いている。
一方でネットには多様な動画関連のサービスはある。それらとテレビの間をどう結びつけるか。単に○○というサービスに対応するというのではなく、将来の発展性も考えた上での仕組み作りが大切だ。
問4. テレビが情報端末になるの?
そう考えている企業もあるのかもしれない。というのも、「Google TV」はそうした思想で作られているからだ。リモコンにキーボードがあり、ネットで動画を検索しながらアクティブに映像を楽しめるようになっている(もちろん、受け身のテレビとしても使える)。しかし、わたしはそこにあまり可能性を感じない。
身もふたもないもないことを言うようだが、スマートフォンやスマートタブレットが凄まじい勢いで普及している中で、わざわざテレビとリモコンを使って作業させる意味があるだろうか。テレビはスマートフォンに比べ、製品の買い換えサイクルが4~5倍ぐらい長い。テレビを情報端末にしても、そのうち時代に追従できなくなる。
それよりも、テレビはネットにある動画を柔軟に再生することに集中し、インタラクティブな操作は他のパーソナルなデバイスに任せる方がいい。ネットの中で連携し、複数のデバイス、サービス、コンテンツが一体となって動作するような“仕組み”を作ればいい。
そうすればサービスやスマートフォン上のアプリケーションが更新されれば、間接的にテレビも使いやすくなる。長い期間、現役で使わなければならないテレビには、同じ”スマート(賢い)”でも、別の切り口があるんじゃないだろうか?
さて、こんなことを考えているが、もちろん、他のパネラーは違う意見を持っているかもしれない。シンポジウムは「ニコニコ生放送」や「USTREAM」で生中継し、コメントを受け付けるとか。みなさんも自分の持っているスマートテレビに対する意見や考えをコメントとして書き込んでみてはいかがだろう。
スタッフがコメントを拾ってくれる予定だが、筆者も現地でパソコンの画面を追いながら、その時々の話題に応えながら、双方向のコミュニケーションに挑戦してみたい。
ITmedia スマートテレビ研究所 第一回 シンポジウム
テーマ:テレビが変わる、未来を変える。「スマートテレビ」はどうあるべきか?
出演者:乙武 洋匡(ジャーナリスト)
麻倉 怜士(デジタルメディア評論家)
本田 雅一(AV評論家、ITジャーナリスト)
いとう まい子(女優)
松村 太郎(ITジャーナリスト)
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