異色のハードディスクレコーダー、「nasne」を徹底検証(後編):PS3なしで使ってみよう(4/4 ページ)
「nasne」はプレイステーション3がなくても利用できる。今回は、外出先からの録画予約に加え、PCやタブレット、Androidスマートフォンと組み合わせたときの使用感などをリポートしていこう。
スマホで使ってみよう
スマートフォンからでも、DTCP-IP対応のDLNAクライアントが搭載されていればnasneの録画番組を視聴できる。ワンセグ内蔵のスマートフォンの多くはDTCP-IP対応のDLNAクライアントを搭載しているケースも多く、PS3以外ではもっともnasneと組み合わせやすいのがスマートフォンともいえる。
今回はDTCP-IP対応DLANクライアント「Dixim Player」が搭載されている「au ARROWS Z」(ISW11F)を組み合わせてみた。DLNAサーバとして1台のnasneを指定することになるが、ジャンル・日付別の一覧も可能であり、録画番組の再生も問題なく行えた。放送中の番組も「ライブチューナ」フォルダを介して録画番組と同じ操作で視聴できた。なお、「torne」から配信されるMPEG2-TSやMPEG4/AVCコーデックのストリームをスムーズに再生できるかどうかはスマートフォンの処理能力に左右されるので、DTCP-IP対応DLNAクライアントが搭載されていれば「torne」と組み合わせて快適に利用できるとは言い切れない点に注意してほしい。なお、今回組み合わせたauの「ARROWS Z」はデュアルコアCPUなだけでなく、動画再生に強い「OMAP4430」採用の製品だ。
また同じくDTCP-IP対応DLANクライアント「スマートファミリンク」搭載のスマートフォン、au「infoabr」(A01)も同様に組み合わせてみた。こちらはシングルコアCPUということもあり、録画番組再生時のフレームレートがかなり低くなったのは仕方ないとして、録画番組一覧にフォルダやジャンルなどが一切反映されず、全録画番組の一覧のみとなったのが気になった。幸い新しい録画番組順に並ぶため、昨日録画した番組を再生するといった場合にはそれほど困らないと思うが、録画番組が増えてくると面倒になるかもしれない。スマートフォンでnasneを活用したいという場合、DTCP-IP対応DLANクライアントの仕様もチェックしておいた方が良いだろう。
ここまでnasneをさまざまな機器と組み合わせての評価を行ってきた。PS3との組み合わせがもっとも快適なことは間違いないが、DLNAサーバとしての処理能力が高く、Webサービス「CHAN-TORU」を利用した録画予約や録画番組の管理も実用性が高いため、nasneはPS3なしでも結構便利に使える。とくに「VAIO TV with nasne」が対応するVAIOを所有している場合、後はレコーダブルBDドライブさえあればBDレコーダーとほとんど変わらない機能を実現できる点は魅力的だと思う。
一方で、nasneはあくまで1台1チューナーのレコーダーであり、実際3台4台と組み合わせるのは配線の手間もあるし、HDDの空き容量も個別に管理する必要がある。番組録画にしても放送時間の変更があった場合にnasneを跨いで録画予約を調整してくれるわけではない。例えば、nasne3台と3チューナーのBDレコーダーであれば、録画の確実性は3チューナーのBDレコーダーの方が高いはずだ。マルチチューナーのBDレコーダーでは放送時間の変更があった場合にはチューナーの空きを調整して録画予約の変更を行ってくれる場合が多いからだ。
とはいえ、そういったネガティブな部分は「運用でなんとかするさ」と思うくらい、nasneは面白いネットワークレコーダーである。PS3と組み合わせた場合の快適操作、PCやタブレット、スマートフォンとの高い親和性、場所を問わない便利な録画予約、必要があれば「増設」という従来のレコーダーにはないスケーラビリティーなど、nasneならではの魅力が多い。PS3を持っていようが持ってなかろうが、まずは1台買ってみるのが吉だと思う。
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