スピーカーになるおしゃべりロボットとしゃべるBTスピーカー、買うならどっち?:玩具屋か音楽屋か
スマホを使って会話ができるロボット「オハナス」が登場したが、実はソニーモバイルが発表した愛らしい球形ボディのBluetoothスピーカー「BSP60」も簡易なエージェント機能を搭載している。欲しいのはどっち?
タカラトミーとNTTドコモが共同開発したヒツジ型おしゃべりロボット「オハナス」(OHaNAS)が6月4日に発表された。ドコモが提供するコンシェルジュサービス「しゃべってコンシェル」の自然対話プラットフォーム技術を利用しており、スマートフォンアプリを使って会話ができる。iPhoneユーザーはSiriとの対話をイメージすると分かりやすい。
底面にはスピーカーを搭載し、マイク端子とスピーカー端子をそれぞれ備える。Bluetoothスピーカーとしても利用でき、オハナスを使ってスマホの音楽を再生したり、電話をしたりすることが可能だ。
この親しみのある球形、どこかで見覚えがある……そう、3月にバルセロナで開催されたモバイル関連見本市「Mobile World Congress 2015」のソニーモバイルコミュニケーションズブースで見かけた「BSP60」だ。BSP60はXperiaスマートフォンと連携するBluetoothスピーカーで、音楽再生がメインとなるが、Androidアプリ「ボイスコントロール」を使えば天気やスケジュール、SMSの読み上げなどもしてくれる。目のLEDが光るところも両者の共通点だ。
玩具屋の思想、音楽屋の思想
そもそもターゲットとなるユーザーや細かい仕様は異なるのだが、これまでの業界の慣習にとらわれない新しい発想で開発された家庭(もしくはオフィス)用製品としては同じカテゴリーに入らなくもない。だが、各製品を眺めてみると、玩具屋と音楽屋の異なる視点がそれぞれ見え隠れする(いずれも開発途中)。
タカラトミーはあくまで玩具としての「遊び」や「コミュニケーション」といった部分を重視しており、俳句やしりとり、占いなどができるほか、会話をしていて楽しくなるような内容や話し方などを意識して設計している。また、好きな食べ物や特技など、プロフィールをしっかり設定して愛着を持ってもらえるキャラクターに仕上げた。
一方のBSP60は、かわいらしい見た目で親近感がわくものの、あくまでXperiaのエンハンサーとして存在するBluetoothスピーカーという位置付けだ。名前もBSP60と味気ないが、これには理由がある。
ソニーモバイルコミュニケーションズ 商品企画(コンパニオンプロダクツ)統括部長の宮澤秀右氏によると、「日本だと無機物を擬人化する文化がありますが、欧州では偶像化する行為自体がタブーです。『OK!スピーカー』という呼びかけや、BSP60という名前など、もっと愛着がわくものがあるのではないかといろいろ検討しましたが、グローバル展開する製品なのでニュートラルなものに落ち着いた」のだという。
国境を越える「ボーダーレス」をうたうタカラトミーは、オハナスの国外展開も視野に入れていることを明かしていたが、両社の思想は対照的だ。ちなみに両製品とも多言語対応する予定。
また、BSP60はローラーで動き回るが、オハナスのギミックは音声と目の光のみ。タカラトミー 新規事業部 ニュートイ企画部 部長の木村貴幸氏は「動く設計にするとモーターを搭載する必要があり、音声認識に支障が出る」と説明する。動きがあった方が子供ウケは良さそうだが、あくまで会話で楽しませることに焦点を置いた結果だ。
オハナスは10月1日に発売予定で、BSP60は「近日発売予定」と案内されている。スマートフォンと連携する玩具や、既存の枠組みにとらわれない周辺機器などは今後も続々と登場するだろう。あなたが1家に1台置いておきたいロボット(もしくはスピーカー?)はもう見つかっただろうか。
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