「YouTuberは文化じゃない」「VOD元年はこれから」 Hulu×dTVのキーマン対談:有料動画ユーザーの詳細が明らかに(1/3 ページ)
盛り上がりを見せる定額制動画配信サービスは、どんなユーザーがどのように利用しているのか。VODサービス「Hulu」と「dTV」のキーマンが現状を分析し、今後の展望を語った。
月額定額制の動画配信サービス「Hulu」と「dTV」のキーマンによる業界関係者向け対談イベントの続報をお届けする(関連記事)。本対談は7月10日に行われたもので、HJホールディングスの船越雅史社長とエイベックスデジタルの村本理恵子常務取締役が登壇し、ビデオオンデマンド(VOD)サービスの現状や将来を語った。
今回は、HuluやdTVのユーザー属性や視聴傾向、VOD市場の将来について言及された内容をまとめた。
「テレビを筆頭にマルチデバイス化が加速」「テレビを見ながらスマホで動画」
船越氏と村本氏は、HuluとdTVのユーザー属性、視聴デバイス、利用時間などの傾向について両社が集めたデータをもとに詳細を語った。
村本氏によると、dTVのメインユーザーは20〜40代で、上は80代と幅広い世代の利用者がいるという。男女比は「dビデオ powered by BeeTV」(dビデオ)の時代から変わらず、半々。一方のHuluは、「ここ最近で大きくユーザー属性が変化した」(船越)という。米国発のサービスなので、基本的には海外ドラマファンが多かったが、日本テレビ放送網による子会社化もあり、今では国内コンテンツが全体の66%を占めている。船越氏は「アニメ効果で20代が大幅に増え、日テレの水曜ドラマの影響で女性も自然に増えていき、男女比はdTVと同じく半々になってきた」と説明する。
また、両者とも口をそろえて「マルチデバイス化が進んできており、特にテレビの比率が高まってきている」と発言。NTTドコモとエイベックスはフィーチャーフォン時代から動画配信をしてきたが、村本氏は「ここ1年でモバイル以外の機器での利用が急速に進み、今では4割のユーザーがPCやテレビを使うなど、そのときどきで使い分けをしている。ようやくレンタルビデオ感覚で利用できることにユーザーが気付き始めたのでは」とコメントした。
一方のHuluはもともとテレビで見るユーザーが多く、短尺の作品はあまり見られない。次にPCの割合が多く、3分の1を切ったところでスマホやタブレットが利用される。船越氏は「米国ではスマホで動画を見るという習慣がなく、テレビのコンテンツはテレビの画角で見るように設計されているし、スマホのUIちょっと……」と言葉を濁した。
村本氏は「より快適に視聴できる大きな画面に移行するのは当然の流れで、接続環境の問題が整えばテレビでVODを見る習慣は一気に広がる」と今後の展望を語った。また、dTVはリニューアルを機に専用のSTB(セットトップボックス)「dTVターミナル dTV 01」を用意しており、HDMI対応のテレビやモニターでも利用できるようになっている。
動画を視聴する時間帯については、両者でやや異なる傾向が見られた。村本氏はまず、VODユーザーの1日の流れを説明。「事前にダウンロードしたものを通勤・通学の電車内で見るが、昼はニュースチェックなどをするのであまり見ない。帰りの電車内でまた視聴して、帰宅後はテレビを見ながら同時にスマホでも動画を見る。そういう人は、テレビが面白そうなシーンになったら顔を上げてちらっとテレビを確認する。ベッドの中で動画を見ながら眠りに落ちる人もいる」という。
「利用する時間帯についてはdビデオ時代とそこまで変わらない」としており、平日は短尺モノが良く見られるが、休日は子供向け作品や長尺の映画などを視聴する人が昼間を中心にぐっと増える傾向にある。
船越氏は「Huluは寝る前に見る人が多く、長尺モノが見られる傾向がある」と説明する。ただし、さまざまなデバイスでシームレス視聴できることをうたっていることもあり、帰宅まで待ちきれない人が移動中にスマホで続きを視聴することもある。土日は昼夜問わず一気見をする人が多い。
モバイルが入り口か、PCが入り口かという出自の違いから、見られる動画の長さやデバイスの傾向などが異なるが、ここ最近はほとんどその差がなくなってきているようだ。
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