Amazon Alexaにも対応予定――日本のスタートアップ、ネインが開発する“スマートイヤフォン”とは?:山本敦の「体当たりッ!スマート家電事始め」(2/2 ページ)
完全ワイヤレスの「APlay Pulse」も見せてもらった
ネインではいま、このAPlayシリーズに完全ワイヤレスタイプのBluetoothイヤフォン「APlay Pulse」を新しいラインアップとして加えるため開発を進めている。3月下旬にアメリカで開催された世界最大級のマルチメディアの展示会「SXSW 2017」(サウスバイサウスウエスト)に出展ししたネインがブースで披露したモックアップを見せてもらいながら、本機をどんな製品として仕上げていくのか、山本氏の構想を訊ねた。
外観はとてもコンパクトな円筒形のケースに片耳タイプのカナル型イヤフォンが格納されている。使い方の基本は今のAPlayシリーズと同じで、スマホとBluetoothによりペアリングして「APlayアプリ」の様々な機能と連動することになりそうだ、本機の開発と平行して、新たに「ボイスチャット」のような機能の追加も計画されているのだという。「APlayのユーザー同士が互いに音声メモを残してコミュニケーションできる機能を付けたいと思っています」と語る山本氏は、スマホによるテキスト打ちの手間をなるべく軽減できるようなボイスコミュニケーションのインタフェースを頭の中に描いている。
もう1つの特徴としてアマゾンの音声認識エンジン「Alexa」を搭載する計画もある。使い方のイメージは、ヘッドフォンのハウジングに設けたボタンを2度押しするとAlexaが起動して、ペアリングしたスマホアプリを経由してクラウドにつながり、スマート家電などの操作が音声によるインタフェースを活用してスマホフリーで行えるというものだ。日本ではまだAmazon Alexaの上陸予定などが見えていないが、欧米ではAlexaのエンジンを積んだ「Echo」や他社製品も含めたワイヤレススピーカー、車向けのインフォテインメントシステムなどの開発も活発化している。「Alexa対応のワイヤレスイヤフォン」が実現すれば多くの引き合いがありそうだ。
また片耳タイプだけでなく、両耳タイプの「APlay Pulse」も山本氏の視野に入っている。「ただ、その場合はやはり基本的にはスマホによるコミュニケーションをサポートするデバイスにしたいので、周囲の音を遮断しない工夫も必要になると考えています。外音を取り込むためにはオープンエアタイプのハウジングを採用することも1つ有効な解決策かもしれないですね。両耳対応とした場合はイヤーピース同士の通信を安定させるための作り込みも大事になってくると思います」
山本氏は、いま芽吹き始めている「ヒアラブル」というインタフェースの形を洗練させていくことで、本来便利なものであるべきスマート家電が、操作が複雑になってしまったことによって生まれているデジタルデバイドを解消する糸口にしたいと語っている。そして声によるインタフェースを成熟させていくことで、例えば車の中でのハンズフリー操作も新しい提案ができるだろうと期待を寄せる。
「スタートアップのアドバンテージは、ユーザーの声に間近な距離で触れることができ、製品開発に素速く反映できることです。今後もスピード感を大事にしながら魅力的な製品を形にしたい」という山本氏。「APlay Pulse」の開発がクラウドファンディングも含めてどのような形で進められるのかなど、今後の展開が待ち遠しい限りだ。
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