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» 2007年06月13日 09時00分 公開

金融庁の多重債務者対策は十分といえるのか

借金で苦しむ多重債務者への相談体制が不十分のようだ。この問題について金融庁も「進んでいない」と認めており、このままでは“たらい回し”も懸念される。

[土肥義則,Business Media 誠]

 2010年までに施行される「改正貸金業法」だが、金融庁はその対応策に遅れが出ていることを明らかにした。法律には、金利の引き下げや総量規制(年収の3分の1まで)を盛り込んでおり、規制によって多重債務者の発生を抑制する案を出していた(5月30日の記事参照)

 金融庁は4月に「多重債務問題改善プログラム」を発表している。その骨子になるのが「相談窓口の整備」「セーフティネット貸付」「金融教育」「ヤミ金取締り」の4本柱だ。しかし、最も重要視されている「相談窓口の整備」は進んでいないのが現状だ。法律施行まで残された時間は約2年半だが、「このままでは多重債務者が混乱に陥いるのではないか」(消費者金融関係者)という見方も出ている。

多重債務者を発見しやすいのは地方自治体

 多重債務者問題をめぐって金融庁は6月12日、相談窓口を整備していくことを強調した。金融庁では窓口整備の目標を掲げており、全国に1800ある自治体のうち、500の市町村で相談体制を敷くという。多くの多重債務者は、誰にも相談せずに生活が困窮していく傾向がある。借金苦から自己破産を水際で防ぎ、多重債務者200万人を減らしていくためにも、全国の自治体に相談体制を張りめぐらせる方針だ。

 金融庁では、地方自治体での相談窓口に期待を寄せている。「生活保護の申請や家庭内暴力などの相談を通じて、多重債務者を発見しやすい」(金融庁)というのが背景にある。しかし「(多重債務者を)掘り起こす機会は多くあるが、現在は取り組みが進んでいない」ことを明らかにした。

多重債務者が路頭に迷うかもしれない

 すでにいくつかの自治体では相談窓口を設けているが、現場サイドの自治体からは「必要な知識がない」と不満の声があがった。これを受け金融庁は、簡易版のマニュアルを作成。マニュアルには「相談者が来訪したら」という設定に対し「相談者は日々の取立てや資金繰りのため、極度の疲労状態にあります。『借金問題は必ず解決できる』ことを伝え、安心させます」と記している。このあと相談者のプロフィールを書いてもらうだけで「相談窓口としては“8合目”まできた」(金融庁)状態だそうだ。

 債務方法など具体的なことは、説明しないことが基本だ。「イメージをつかめれば十分」としているが、これで相談機能を満たしているのだろうか。大手消費者金融の関係者は「中途半端な相談では債務者が混乱するかもしれない。逆効果ではないか」と指摘する。借金問題を扱うカウンセラーは「債務者には最低でも1時間かけて相談する。そして1回限りではなく、『返済がうまく進んでいるか』などフォローが欠かせない」と語る。

 来月には“完全版”マニュアルを完成させ、各自治体に配布していくそうだが、「“不完全”マニュアルにならなければいいが……」(大手消費者金融関係者)と冷やかす声もある。

 現状、多重債務者の相談には、一部の弁護士や関係団体、消費者センターなどがそれぞれ応じている(5月21日の記事参照)。しかし「相談件数は増えているものの、まだまだPR不足かもしれない。大半の債務者は、借金の相談窓口の存在すら知らないのが現実」(日本クレジットカウンセリング協会)だという。

 また、各窓口がうまく連携していないのも課題だ。自治体から弁護士へ、消費者センターから自治体など、今後は横のつながりが求められるだろう。現状の相談窓口について金融オンブズネットの原早苗氏は「(多重債務者が)たらい回しになっていないか。このままでは路頭に迷うかもしれない」と懸念を示した。そもそも自治体は、どこまで相談窓口に力を入れているのか。これについて原氏は「大きな柱になっていない」と、根本的な問題点を指摘した。

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