要注意! “叶姉妹銘柄”には手を出すな週1回リアルタイム連載「誠倶楽部」

» 2007年08月06日 21時55分 公開
[高橋暁子,Business Media 誠]

第1回:持ち金100万円!超ビギナーとダメ投資家が株に挑戦

第2回:1週間が経過。超ビギナー3人が買った株はどうなった?

第3回:「誠倶楽部」に指南役が登場! 「銘柄選びは難しくない」

第4回:「リア・ディゾン銘柄は手放すな」の意味とは?

これまでの「誠倶楽部」の成績

 7月から始まった素人集団のバーチャル株取引企画「誠倶楽部」。超ビギナーとダメ投資家が「持ち金100万円」「期間3カ月」の制限内で気になる株を買い、運用してみるという特集連動企画だ(7月9日の記事参照)

 真野はニンテンドーDSやWiiが好調な任天堂(7974)を買い、これまでのマイナスを減少させた。高橋はモバゲータウンで人気を集めるディー・エヌ・エー(2432)で、一気に元本の100万円を超えた(7月23日の記事参照)。さて、今回の結果はどうだったのか? まずはメンバー紹介と、先週8月3日(金)時点の持ち金から。

誠倶楽部メンバー紹介

Business Media 誠の編集部員、土肥義則

土肥義則:持ち金92万円

Business Media 誠編集部員。3人の中で唯一株式取引経験ありということで一歩リードか。4月に奈良から上京してきた土肥。週末は、友人と会って食事というパターンが多い。奈良に住んでいた時は、帰りの電車で必ず座れるので多少飲んでも平気だった。しかし、東京では座れない上に混みすぎて気分が悪くなるので、帰りの電車のことを考えながら飲んでいる。また東京人は、タクシーを気軽に使っているのが不思議だという“ケチな関西人”。


営業部員、真野裕章

真野裕章:持ち金96万8800円

アイティメディアで「Business Media 誠」を担当する新人の営業部員。「4月までは自炊をしていたが、作り過ぎ食べ過ぎて太った」という。5月に入ってからは、カロリーが高いものを食べると先輩が突っ込んでくれるおかげで、体重はほぼ元に戻りつつある。ただし先輩が夏休みに入った水曜日くらいから気が緩んだのか、リバウンドしているような……。ちなみに真野は4月に大阪から上京した。土肥と同じように、東京人が頻繁にタクシーを使うことに驚いたが、最近ではバスをよく使うようになった。

フリーライター、高橋暁子

高橋暁子:持ち金103万5100円

ヨガ教室で「バランスボール」にトライした高橋。バランスボールとは直径55〜65センチメートルほどのゴムボールで、その上に座ることで筋力を鍛えたり身体の歪みを直すためのもの。ボールに足を浮かせたまま腰掛けるところでは、1人だけできずに落ちまくった。あんなに難しいものをなぜみんなできるのか不思議でならない、と悩み中。そういえば、片足だけで立つ「立ち木のポーズ」でも1人だけふらついていた。一体どれほど歪んでいるのか? 「心根のまっすぐさで勝負」とうそぶいている。


企画概要

 週1回(金曜日の午後3時東京証券取引所終了後)、誠倶楽部のメンバー3人が集まり、その週に買った株の値段の動きをチェックし、翌週どの株を買うかを決める。自分が保有する株に関するウンチク、来週に向けての意気込みを語るほか、他のメンバーに対する意見も飛び交う予定。その議論の模様と銘柄の価格、各自の資産状況(折れ線グラフ)は、翌月曜日に記事を掲載する。期間は7月〜9月の3カ月間。

ルール

  1. 最初の持ち金は1人100万円。
  2. 1度に持てる株は、1人2銘柄まで。それぞれをどういう割合で持つかなどは、個人の裁量に任せることとする。
  3. 原則的に金曜日に清算する。翌週に同じ銘柄を持ち越すことも可能。
  4. 売る場合、終値(市場取引で最後についた値段)で売り、別の銘柄を終値で買ったことにする。そして、その銘柄を月曜日から1週間保有し、金曜日に清算する。
  5. 空売り(他人から借りた株券を用いて売却を行う取引)は禁止とする。あくまで買いだけ。信用取引(株式投資の資金を証券会社から借りて行う取引)もナシ。
  6. 実際には売買の際に手数料がかかるが、証券会社や売買方法などによって違うので、本企画では考えに入れないものとする。

米国株と為替の影響が大きかった今週(7月30〜8月3日)の相場

 株取引を始めた「誠倶楽部」だが、残念ながらビギナーズラックもなく、全員が元本を割ってしまった(7月17日の記事参照)。そこで指南役の臼田琢美氏に登場してもらい、株取引の基本を教えてもらった。その成果が顕著に出た高橋は、元本の100万円を超えるプラスとなり、真野もプラスだったが100万円には届かなかった。指南役の教えを“無視”した土肥は、マイナス幅が広がり、大荒れの相場を懸念して休戦した(7月30日の記事参照)。このまま好調を維持したい高橋と真野、負けを取り戻したい土肥の3人は、再び指南役の臼田氏を訪れた。そこで教わったものとは?

カブドットコム証券常務執行役の臼田琢美氏

臼田琢美

カブドットコム証券常務執行役。1989年から証券会社などを経て、旧日本オンライン証券の設立に従事、現在に至る。1996年にインターネット上の投資家コミュニティとして国内最大規模の「かぶこーネット(株式投資向上委員会)」を立ち上げる。「る〜さ〜!」はネット上でのペンネーム。テレビ出演や雑誌やWebでの連載など株式啓蒙家としても活躍している。臼田琢美の「かぶろぐ2(kabu.log2)」

土肥:今週(7月30日〜8月3日)の相場を振り返ってみていかがでしたか?

臼田:非常に怖い相場で、株価の乱高下が激しかったですね。しかし今回のような下落は、予想される範囲だったとも言えます。1度目の下落の時は、みんな安いと思って買う傾向があります。そのため少し反発しますが、もう1回大きく下げることがあります。

土肥:やはり米国株と為替の影響が大きかったのでしょうか?

臼田:そうですね。7月の4週目に米国株が大幅に下落した要因と言われている「サブプライムローン」と、円高による影響が大きいと思います(4月4日の記事参照)。輸出が多い自動車関連株なども下落しました。好業績の背景に円安があったため、株価に影響が出たかもしれません。円高が急速に進行したため、相場は「もっと円高が進むかもしれない」という“恐怖感”から大幅に下げたのではないでしょうか。

土肥:第1四半期の決算発表があり、大手銀行の株価が大きく下げました。

臼田:確かに決算内容は悪かったですが、市場は織り込んでいた数字でしょう。決算の内容以上に、サブプライムローンの問題が大きかったかもしれません。例えば大手証券会社は、サブプライムローンで700億円を超える損失を発表しました。「ひょっとして大手銀行もサブプライムローンを抱えているのではないか」「損失額が分からない」などといった不安感から、売りが先行したのかもしれません。

真野:こんな相場でも、強い銘柄は相変わらず強いのでしょうか?

臼田:例えば真野君が保有している任天堂は少し下げましたが、大きくは下げていません。高橋さんが保有しているディー・エヌ・エーも、上昇を続けています。不安定な相場になると、“強い銘柄”と“弱い銘柄”の選別がますます進むでしょう。

高橋:ディー・エヌ・エーは上がりすぎていて、そろそろ下がりそうな気もしますが……。

臼田:ディー・エヌ・エーは、昨年と比べ2倍近く上昇しています。強い銘柄が4〜5倍になるのは、ごく普通のことです。今が高値かどうかは分かりませんが、市場の予測を超える業績を残せば、まだまだ伸びる可能性があるでしょう。

真野:割安銘柄で注目する点はありますか?

臼田:長い時間をかけて業績を上げている銘柄には、注目した方がいいかもしれません。業績は良くても株価に反映されていない“地味”な銘柄があります。そういった銘柄は、数年後に大きく上昇するケースがあります。振り返ってみると「あの時が底値だった」ということです。だからと言って「この銘柄は業績が良くて割安だ。だから買おう」という考え方は、やや短絡的かもしれません。業績が良くて割安というのは、何か上がらない理由があるかもしれない。ある程度、株価が上がりだしてから買っても遅くはありません。

 それではここで今週(7月30日〜8月3日)の結果から。気になる結果をチェックしてみよう。結果は8月3日(金)の終値だ。

3人が買った銘柄の結果は以下の通り

土肥 1回休み

持ち金合計 92万円

先週比 0円(±0%)

真野 任天堂 5万8000円×16株=92万8000円→5万5500円×16株=88万8000円 

持ち金合計 96万8800円→92万8800円

先週比−4万円(−4.13%)

高橋 ディー・エヌ・エー 48万1000円×2株=96万2000円 

→53万1000円×2株=106万2000円

持ち金合計 103万5100円→113万5100円

先週比 +10万円(+9.66%)


このまま高橋の独走が続くのか

 土肥は不安定な相場を考え1週休み。真野は先週、任天堂で5万1000円の儲けが出たが、今週は4万円下げてしまった。高橋は2週続けて10万円を超えるプラス、早くも独走態勢に入っているのか!?

決算説明資料は情報の宝庫

土肥:「機関投資家は情報を早くつかんでいる」。だから個人投資家は勝てない、と指摘する人もいます。

臼田:それは大切な情報を「見落としている人」の言い訳だと思います。現在は同じ情報を、誰でも手にすることができます。例えば決算説明資料を読んでいない人が多いようです。買おうとしている銘柄の決算説明資料は、必ず読んでください。そして数年前の決算説明資料と、直近の資料を見比べてください。「シェア1番を狙う」と書いていて、トップでもないのに「利益を追求する」と変更していたら、注意する必要があります。また将来的には、利益が拡大していくように書いてある企業も気になります。未来のことは誰にも分かりません。根拠もないのに「数年後には利益が2〜3倍に拡大している」と、書いてあるのは注意した方がいいでしょう。

決算説明資料の見方を説明する臼田(右)

真野:決算説明資料は、PowerPointなどで見やすく作っている企業が多いですね。

臼田:企業が自由に作れる資料なので、作り手の意図を見抜く必要があります。言いたいことだけ書いてあったり、隠したいことをうまく隠す企業もあります。決算数字でも比較する年度を変えたり、自分の会社にとって有利な数字を取り上げているケースがあります。

“叶姉妹銘柄”には気をつけろ

根拠のない理由で株を買うのは、避けた方がいい

土肥:選挙の影響はほとんどなかったようですが、決算の影響は大きかったです。

臼田:自民党の大敗は織り込み済みだったので、株価への影響は少なかったですね。それより決算発表には注意してください。少なくとも保有する銘柄の決算発表時には、株価の動向なども含め確認する必要があります。年間4回の決算発表がありますから、決算数字を見て「売り」か「買い」かを、うまく活用することですね。

真野:今は何に注目すればいいですか?

臼田:これからは7月〜8月の売り上げなどを見込んで、中間決算の動向が気になります。第1四半期の決算を受けて、中間決算の数字を予想することも大切でしょう。まずは情報収集と株に関連する勉強を続けてください。アナリストレポートや決算説明資料などを読まないで、株を買うのはリスクが大きいですね。

高橋:1日の値動きに一喜一憂してしまって、相場全体の動きを見ることが難しいですね。

臼田:景気が良いとか悪いとか、どの業種が好調なのか、最低限の情報収集は行ってください。1日〜2日といった短期的な値動きの理由や予測は難しいですが、株の売買代金などはチェックしてください。売買代金が増加していて、かつ株価が上昇していれば、強い相場を示していることが多いですね。

真野:あと、個人投資家に人気がある銘柄の動きが気になります。

臼田:個人投資家の動向を注目する上では、人気銘柄の値動きは追い続けてください。ただ現在の相場は、汗水垂らして働く業種が堅調です。例えば造船や鉄鋼などが挙げられます。反対に華やかで汗水垂らさないイメージが強い業種の銘柄は、株価がさえない状況が続いています。代表的なのがIT関連株でしょう。個人投資家の心理は、外見が華やかな“叶姉妹”に付いて行くようなものかもしれません(笑)。1回ぐらい「買う」のはいいでしょう。ただダメだと分かったら、切り替えることが大切です。下落を続けているのに「また昔のように上がるかもしれない」――こうした根拠のない理由で株を買うのは、避けた方がいいでしょう。繰り返しになりますが、“叶姉妹銘柄”には手を出すなと強調しますね。

誠倶楽部の3人はどの株を買うのか?

ニコンの株価チャートニコンの株価チャート(1年:縦軸の単位は円)三菱商事の株価チャート三菱商事の株価チャート(1年:縦軸の単位は円)

高橋:ディー・エヌ・エーは2週間で20%ほどの上昇となりました。もちろん手放しませんよ。“リア・ディゾン銘柄”ですから(笑)。

真野:任天堂は少し下がりましたね。でも業績は好調だし、まだまだ上がると思いますので保有を続けます。

高橋:ところで土肥さん、今週は何を買いますか?

土肥:やはり先週は「休むも相場」で正解でした。銀行株は軒並み下落しましたからね。今週からは、好調な銘柄を狙っていきますよ。

真野:好調というとどの銘柄ですか?

土肥:ニコン(7731)と三菱商事(8058)を買います。ニコンは半導体露光装置やデジタルカメラが好調で、2008年3月期は過去最高益を更新する見込みです。一方の三菱商事は、原油の扱いが多く、原油高の恩恵を受けることを期待します。さらに機械や金属など各事業をバランス良く伸ばしているので、株価が上がることを期待します。

5回目に買った銘柄は次の通り

土肥 ニコン(ミニ株) 3820円×100株=38万2000円

三菱商事 3420円×100株=34万2000円

真野 任天堂(ミニ株)(継続保有) 5万5500円×16株=88万8000円 

高橋 ディー・エヌ・エー(継続保有) 53万1000円×2株=106万2000円


 好調な銘柄を買った土肥の判断はどうなるか。任天堂に期待する真野は再度プラスになるのか。そして、唯一元本より増えている高橋のトップはどこまで続くのか。8月10日(金)の結果をお楽しみに。今回3人が買った銘柄や、買い方についてご意見・ご感想はこちらから。また記事へのトラックバックもお待ちしています。

今回学んだこと

臼田さんからのアドバイス

  1. 決算説明資料から会社の方針などを分析する。
  2. 好業績で割安だからといって、すぐには買わず、株価が上昇してから買っても遅くはない。
  3. 7〜8月の売り上げなどから、中間決算の数字を予測する。

※同企画は株式投資に当たっての参考情報です。投資判断は自己責任でお願いします。


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