買い物前にネットで情報収集――男女で行動に違い?

» 2008年05月20日 11時04分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 ネットユーザーであれば、商品を購入する前に、インターネットで情報収集を行い、検討するという行動は、すっかり一般的になってきているのではないだろうか。Webマーケティングガイドとメディアインタラクティブの調査によれば、「商品を購入する前にインターネットを利用して情報収集をしたことがある」と答えた人は実に94.4%(男性94.8%、女性94.0%)。

 ネットを利用した調査なので、アンケート回答者はネットユーザーという前提はあるものの、ほとんど男女差なく「買い物前にネットで調べる」という行動が根付いていることが分かる。しかし「どのように情報収集を行うか」という点では男女で差があるようだ。

 ネットで情報収集を行ったことがあると回答した人(n=472)に対し、どのように情報収集を行ったかをたずねると、もっとも多いのは「検索サイトを利用する」(86.9%)で、男女ともにトップ。男女で差が出てくるのは2位以降だ。

 男性は「比較サイトを利用する」が64.6%、「口コミ情報サイトを利用する」が39.7%で大きな差があるのに対し、女性はそれぞれ54.0%と52.8%でほぼ同数。また4位の「サンプル・トライアル商品を利用する」は男性が7.6%しかいないのに対し、女性は35.3%もいるのも特徴的だ。

 各サービスの利用状況についてもたずねている。「検索サイト」「比較サイト」「口コミサイト」のいずれも、利用が増えたと答えた人は9割以上。特に口コミサイトを利用すると答えた人は約95%となっている。「サンプル・トライアル商品」も、利用が増えた人は86.1%いる。

 女性は男性に比べ「口コミ情報サイト」や「サンプル・トライアルを利用する」の利用が非常に増えているといえる。

気になるのは「何を買うか?」

 これらの結果から、Webマーケティングガイドでは「最近では、2007年7月に青山にオープンした「サンプル・ラボ」だけでなく、「サンプル百貨店」など、同様のサービスが多く誕生してきている。今後は女性だけでなく男性においても、サンプルやトライアル商品を利用し「検討」するユーザーが増えてくるのではないだろうか。」と結論付けている。

 ただ、個人的には「そんな単純なものでもないのでは?」という気がしている。そう考えるのは、「ネットで情報収集してから買うもの」が、男女で違うのではないかと思うからだ。買う物が違うなら、情報収集する場所も違うはず。「比較サイト」「口コミ情報サイト」と聞いて想定しているものも、男女の回答者で違う可能性は高い。

 男性回答者にとって比較サイトや口コミ情報サイトといえばおそらく「価格.com」「2ちゃんねる」あたりが代表例ではないだろうか。価格.comで調べて買うものといえば家電商品。しかし家電でサンプルやトライアル商品を配布するというのもなかなか難しい。その代わり、「ネットで価格を比較し、安いところで購入する」という行動には移りやすい。

 一方女性回答者にとっての比較サイトや口コミ情報サイトといえば、代表例は「@cosme」だ。@cosmeで扱う商品は化粧品が中心だから、デパートやドラッグストアに行けば、サンプルやトライアル商品を入手するのは難しくない。一方、ネットで調べた次の行動がリアル店舗になってしまうため、口コミサイト運営者にしてみれば、サイト規模が大きくなっても売上は伸びない、という悩みを抱えることになる(参照記事)

 本調査でも指摘されている通り、ネットでの情報収集はそのあとで「検討」しやすい。ただ、情報収集したあとの行動をどうビジネスに結びつけていくかは、利用者の性別だけでなく、商品の特性も考えなくてはいけないのでは? と思ったリサーチ結果だった。

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