→Suica/ICOCA電子マネー相互利用開始、PiTaPa会員数100万人突破――FeliCa決済利用状況(3月版)
4月15日、JR東日本はモバイルSuicaの会員数が100万人を突破したと発表した(参照記事)。100万人を超えたのは4月9日で、2006年1月に開始したモバイルSuicaは、開始から27カ月で当初からの目標だった100万人を突破したことになる。
同社がモバイルSuicaのキラーサービスと位置付けているのが、携帯から予約・購入ができ、チケットレスで新幹線で乗れるサービス「モバイルSuica特急券」だ(参照記事)。こちらは開始27日で延べ5万件の利用があったという。実際の使い勝手については、使用レポートを掲載したので、そちらをご覧いただきたい。
5月18日、にしてつグループの「nimoca」がスタートした(参照記事)。九州では初のサイバネ規格対応のIC乗車券がスタートしたことになる。このほかにも福岡エリアでは、2009年からJR九州が「SUGOCA」を、福岡市交通局(地下鉄)が「はやかけん」を開始し、福岡エリアはこのどれかを持っていれば電車・バスに乗れるようになる。さらに2010年からはSuicaとの相互利用も始まる予定だ。
nimocaはSuicaやPASMOと同様に、交通IC乗車券と電子マネーの両方で利用でき、西日本鉄道によると、乗車券としてだけでなく、電子マネーとしての利用も滑り出しは好調だという。ローソンはすでにnimocaへの対応を発表済みで、2009年度中には九州の全店でnimocaに対応する予定だ(参照記事)。
なお、nimocaはカードタイプのみで、おサイフケータイ用アプリを提供する予定はない。これは西日本鉄道のコメントではないが、取材をしていると、交通事業者各社から「JR(東日本)でさえ苦労しているおサイフケータイを、うちでやるのは体力的にとても無理」という発言をよく聞く。ただ、おサイフケータイユーザーから聞く声としてもっとも多いのが「一番手放せないおサイフケータイのサービスはモバイルSuica」であることを思うと、交通事業者に負担がかからないモバイル版乗車券の仕組みが、今後必要になってくるのではないかと思われる。
4月7日から、全国のセブン-イレブンでQUICPayが利用できるようになった(参照記事)。また、「アイワイカード」ユーザーを対象に、nanacoカードへQUICPayを登録、利用できるようにするサービスも始まっている。1枚のnanacoカードで、プリペイドならnanaco、後払いならQUICPayというように、支払い方法を選べる。
5月28日、ウィルコムは同社のPHS端末にFeliCaチップを搭載すると発表した(参照記事)。2008年度第4四半期をめどにFeliCaを搭載するPHS端末を日本で発売し、その後は全機種への標準搭載を目指す。
Edy、QUICPay、モバイルSuicaの導入が決まっているほか、全日本空輸(ANA)と日本航空インターナショナル(JAL)の会員証/ポイントカードとしても利用可能になる予定。そのほかのサービス事業者とも導入に向けて検討を進めている。
以下、各社が発表しているFeliCa決済の最新データについて、プリペイド型電子マネーとポストペイFeliCa決済に分けてまとめる。
以下の表では、FeliCaを利用した決済方式のうち、電子マネー(前払いでお金をチャージし、そこから減算して利用する)の利用状況をまとめている。いずれも4月末時点の数字だ。
先月(3月末の数字)と比較して目立って伸びているのは、PASMOの月間利用件数だ。月間利用件数が444万件(3月)から526万件(4月)へ、利用可能店舗数も4950店から5288店へ増えている。この理由についてPASMO広報では「3月18日から京王・京成・相鉄・つくばエクスプレスの4事業者も電子マネー事業に参入したため(参照リンク)、その効果が4月になって出てきているのではないか」と見ている。
3月からパスモ協議会は、PASMOについて、累計の発行枚数ではなく、流通枚数を発表することとしている。従って表には、回収されたPASMOの数は含まれていない。
また、交通系電子マネーの相互利用が進んでいることを受け、利用件数などについて、各決済方式の数字を足して発表する事業者が増えている。JR東日本が発表している4月の月間利用件数は2666万件だが、下表ではPASMO、Suicaの数字を引いた2073万件で表示している。なお同社では、PASMOとSuicaを合わせた利用件数が4月23日に、1日100万件を超えたという発表も行っている(参照記事)。
また、JR西日本もSuica・ICOCA電子マネーの相互利用開始を受け、3月よりICOCAの利用可能店舗数について、Suica+ICOCAを合わせた4万1360店という数字を発表しているが、下表ではSuica加盟店の数を引いた結果を表示していることをお断りしておく。
サービス名 | 事業者名 | 発行枚数(おサイフケータイ分) | 利用可能店舗数 | リーダー/ライター台数 | 月間利用件数 | いつ時点の数字か | 備考(※) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Edy | ビットワレット | 3960万枚(770万) | 7万4000店 | 非公表 | 2400万件 | 4月末 | Edy決済が利用できるWebサイトは約5000 |
ICOCA | JR西日本 | 368万枚(なし) | 7020店※ | 非公表 | 66万件 | 4月末 | Suica加盟店を引いた数 |
nanaco | セブン&アイHLDGS | 576万件(83万) | 1万9351店※ | 非公表 | 2900万件 | 4月末 | セブン-イレブン1万2006店、デニーズ573店、イトーヨーカドー175店を含む |
PASMO | PASMO協議会加盟事業者 | 870万枚※(なし) | 5288店 | 非公表 | 444万件 | 4月末 | 累積発行枚数ではなく、流通枚数なので、回収したPASMOは含まれない |
Suica | JR東日本 | 2177万枚(105万人) | 3万4340店※ | 9万0420台 | 2073万件※ | 4月末 | 相互利用できるPASMO、ICOCA加盟店を加えると4万6650店。利用件数は発表数字の2666万件からPASMO、ICOCAを引いて算出 |
WAON | イオン | 422万枚(非公表) | 2万5000店 | 約5万台 | 非公表 | 4月末 | − |
JCBやトヨタファイナンスなどが中心となって推進するQUICPayの会員数が、2月末の375万人から1カ月で約30万人増加、400万を突破した。また、QUICPay用リーダー/ライターも10万台から14万台に増えている。「4月7日からセブン-イレブンでQUICPayが利用できるようになったため、端末の数が増えている」(moppa)。なお、QUICPay関連のトピックとしては、5月1日から全国850カ所のENEOSセルフSSでQUICPayが利用できるようになった(参照リンク)。
iDの発行会社数は先月から3社増えて62社に(伊予銀行、横浜銀行、ゆうちょ銀行)、PiTaPaの発行会社数は2社増えて19社となった(ゆうちょ銀行、トヨタファイナンス)。
なお、VISATOUCH/スマートプラスは3カ月おきに集計を行っているため、前回の記事で掲載したのと同じ数字になっている。
サービス名 | 事業者名 | 会員数(おサイフケータイ分) | 利用可能店舗数 | リーダー/ライター台数 | 月間利用件数 | 発行会社数 | 備考(※) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
iD | NTTドコモ、三井住友カード他 | 708万人(564万人) | 非公表 | 32万台 | 非公表 | 62社 | 4月末の数字。携帯ユーザーはDCMX/DCMX miniユーザー数(2008年3月末)から推定 |
PiTaPa | スルッとKANSAI | 105万人 | 1万8000店超 | 非公表 | 2700万件※ | 19社 | 4月末の数字、乗車券利用を含む件数 |
QUICPay | JCB、トヨタファイナンス他 | 405万人 | 非公表 | 14万台 | 非公表 | 15社 | 3月末の数字 |
VISATOUCH スマートプラス |
三菱UFJニコス※ | 46万人(約23万人) | 非公表 | 4万9000台 | 非公表 | 4社 | 3月末の数字(調査は3カ月おき) |
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