SuicaやPASMO、Edyなど、駅の改札や小売店のレジでカードや携帯を“かざして使う”シーンが、ここ数年急速に普及している。交通乗車券や電子マネーだけでなく、カードを“かざして”解錠するドアも増えているし、会員証やスタンプラリーのカードの代わりに使われる例も出てきた。
これらに共通して使われているのは、非接触IC(Contactless IC)という技術だ。日本では多くの場合、ソニーが開発・製造している「FeliCa(フェリカ)」というICチップが採用されている。
FeliCa(フェリカ)は、ソニーが開発した非接触ICカードの1種だ。名称は、felicity(至福)とcard(カード)が組み合わされた造語だという(参照記事)。
→FeliCa/モバイルFeliCaの歴史を振り返る(前編/後編)
FeliCaが初めて採用されたのは、1997年から香港の電車やバス、フェリーで採用されている「オクトパスカード」だ。交通乗車券として以外に電子マネーとしても利用でき、当初から今のSuicaに近い使われ方をされていた。
日本でFeliCaが利用されたのは、2001年に誕生したJR東日本のSuicaが初だ。それから7年が経ち、日本の非接触ICチップとして、FeliCaはデファクトスタンダードになった。本記事では“FeliCaの基礎知識”として、これまでの経緯と最新情報を整理する。第1回は、FeliCaのメリットやセキュリティについて考察しよう。
FeliCaが採用されるケースを見ていると、従来は磁気カードが使われていたところを、FeliCaカードに変えている例が多い。なぜ磁気カードではなくFeliCaを利用するのか? その理由は大きく3つある。「速度」「(かざすだけという)簡便さ」「セキュリティの高さ」だ。
日本で最初に商用目的でFeliCaを導入したのはJR東日本だった。磁気カード(イオカード)を自動改札に通す場合、改札機の処理に1枚あたり平均0.7秒かかる。これをFeliCaカード(Suica)に替えると、0.1秒で処理が完了する※。
非接触ICはFeliCaだけではないが、FeliCaは特に処理スピードが高い点が特徴だ。乗客が磁気カードを自動改札に通していたものを、FeliCaカードをかざすように変えることによって、改札を通るスピードを上げ、一定時間でより多くの乗客が改札を通れるようにしようとしたのだ。
また、イオカードは使い切ったら捨てていたが、FeliCaカードであれば、チップにデータを書き込むことにより「チャージ」して何回でも利用できる。そのためにJR東日本は、イオカードに代わり、券売機でお金をチャージし、自動改札で利用するSuicaというシステムを構築、多額の投資を行ったのだ。
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